HAKONE NICA(神奈川県箱根町)

「ダイニング」の「由比 桜海老/絹さや」
https://hakone-nica.com/

 箱根・宮城野の国道から脇道を入り、かなり坂を上がった場所にある隠れ家度満点のスモールラグジュアリーホテル。ロビーに入った瞬間、オープンエアーの開放的なロビーラウンジが迎えてくれる。正面の山腹に望む強羅温泉や早雲山、富士山の眺望は圧倒的。オールインクルーシヴがテーマのひとつで、全8室でスタッフ8人、きめ細やかなおもてなしにリピーターも多い。

 ディナーのテーマはフュージョン料理。新進気鋭の若手シェフ山本光伸氏の手による、イタリアでの経験に和のエッセンスを取り入れたコンテンポラリな一品一品に意表を突かれる。天城軍鶏と白アスパラガスに合わせる土佐酢のジュレなどは斬新。最も印象的だったのが蓬を練り込んだパスタに由比の桜海老&絹さやという合わせ技。絵の具を何重にも塗り重ねたような紅の深い色合いに絹さやの緑が映えるが、食感も完璧に計算し尽くされている。和もテーマということでホテルのロゴ入り紙製箸箱に入れられた箸が備えられている。

 

ヒルトン東京お台場(東京都港区)

「日本料理『さくら』寿司カウンター」の「いくら」
https://www.hiltonodaiba.jp/restaurants/sushi

 都市のリゾートホテルという括りでは、かなりポテンシャルが高いヒルトン東京お台場。全室バルコニーやテラスジャグジー付きの客室など多彩。何より目の前に海が広がり、対岸に都心を望む眺望は、非日常感ここに極まれりである。

 和食、洋食、タイミングが合えばインルームダイニングなどグルメの愉しみも様々だが、鮨はおすすめ。肩肘張らないホテル鮨の決め手は、職人・片野さんの和やかさだろうか。そんな雰囲気からは想像出来ないしっかりとした鮨が供される。まるで宝石のようないくらには美学すら感じるほどだ。

2021.05.13(木)
文=瀧澤信秋