──和音が枯葉に向かって「発光している」というシーンは、枯葉にも命があったことを肯定しているように感じ、励まされます。
池辺 散歩でソメイヨシノの葉っぱを拾って帰ってきたことがあるんですが、その落ち葉がずっと部屋で薫っていたんです。香り高い桜のいい匂いがして。落ち葉でも香があるというのが生命体の発光してることに繋がって、そういうのが描けたらいいなと思って描きました。
でも最近はパッと浮かんできても素直に描けず、「こんなの面白くないよな」と自分を不信するようになってしまって。ちょっとでも自分を疑うと手もまったく動かなくなって描けなくなるので、うそでもいいから自分に自信を持った方がいいんだなと、自信の大事さを感じました。
──コロナの影響で旅行にも行けず、インプット不足なのでは。
池辺 好きな時に気ままな一人旅ができなくなったのは関係あるかもしれません。ふらっと別の地域に行ってぼんやりして帰ってくるだけなんですが、見る景色が変わるのは何かいい刺激になってる気がします。気軽に行けるようになったら、またぶらりとどこかへ出かけてみたいです。
(取材、構成:相澤洋美)
【マンガ】“彼らはキラキラと発光しつづけている” 人とAIが共に生きる日常を池辺葵が描く『私にできるすべてのこと』 へ続く
2021.03.18(木)
文=相澤洋美