年越しの縁起物「レンズ豆」は、金運アップのフォーチュンフード!

 イタリアにはある言葉があります。

「Natale con i tuoi, Capodanno con chi vuoi」(クリスマスは家族と、正月は好きな人と)。

 今もキリスト教の伝統が強いイタリアでは、信仰の強さに関係なく12月25日のクリスマスはとても大切な日。

 日本と違い、恋人同士でレストランでディナーを食べるというよりは、家で家族と過ごします。

 ロマンティックな時を過ごそうと12月25日にイタリアへ旅行に行くと、公共施設などかなりの場所が閉まっているので要注意です!

 クリスマスを家族と過ごす代わりに、大晦日は友達や彼氏など好きな人と盛大に年越しを迎えます。

 今年は新型コロナの影響で盛大なパーティーは出来ませんが、例年はどの州も各地で花火があがり、カウントダウンパーティーやライブなどで盛り上がります!

 そして大晦日は明け方までCenone(チェノーネ)といわれる大宴会で盛り上がります。

 チェノーネで必ず食べるのが、「Zampone(ザンポーネ)」と「Cotechino(コテキーノ)」。

 11月下旬頃からスーパーやお肉屋さんの店頭に大量に並びます。

 ザンポーネはバルサミコ酢の産地として名高いモデナ地方の特産品で、豚の前足に、ひき肉や豚の皮や耳や頬肉、そこにナツメグやシナモン、クローブなどスパイスを詰めたもの。

 コテキーノは同じものを腸詰めにしたものです。ともに「ソーセージの王様」といった感じ。

 これらが生まれたのは16世紀。

 モデナ近郊のミランドラ市が教皇ユリウス2世の軍に攻めこまれた時、市民たちは大切な食糧である豚を奪われないよう、先にひき肉にして豚の足や腸に詰めて略奪を防いだそうで、これがザンポーネのはじまりといわれています。

 ちょっと悲しいエピソードとして語り継がれているザンポーネ。それだけ豚が貴重だったということがわかります。

 爪がついたままの足の中に詰め物がたっぷり入ったむちむち巨大ソーセージ。

 見た目も味もかなりこってりで、私はちょっと苦手ですが、ソーセージや豚足好きにはたまらないひと品だと思いますよ!

 そんなザンポーネとコテキーノと合わせて、必ず食べる年越しの縁起物があります。

 それは、レンズ豆!

 レンズ豆がコインに似ているということで、ずばり金運アップのフォーチューンフード!

 しかも煮ると大きさが2倍になるので、さらに金運も倍! という欲深い食べ物なのです。

 意外に験担ぎ好きなイタリア人。イタリア人って、あまりそういう事を気にしないのかと思っていたので、ちょっと予想外でした。

 豚肉は豊かさと多産の象徴、スパイスは幸運の星でもある木星の象徴、ザクロは富と恋愛成就の象徴、さらに魚は幸運をもたらす縁起物で、魚の形そのものが縁起が良いといわれています。

 ちなみに、大晦日は赤い下着を身に付ける風習があるのですが、赤は古代ローマ時代に権力や富の象徴とされ縁起が良いといわれ、赤い下着を身に着けて新年を迎えると幸福になるという言い伝えがあります。

 そのため、年末の下着屋さんのショーウィンドウは赤い下着ばかり。さすがイタリア人! クリスマスに赤い下着を身に着けるのかと思っていましたが、実は年越し用だと知って意外でした。

 日本のおせち料理のように、どの国も験を担いで新年を迎えたい気持ちは同じなんですね! 赤い下着を身に着け、レンズ豆を食べて新年を迎えると、良いことがあるかも。

 ということで、今回はイタリアの金運アップラッキーフードの「レンズ豆の煮込み」をご紹介。

 たくさん食べて2021年の金運を上げましょう!

2020.12.30(水)
文&写真=齊藤奈津子
撮影=佐藤 亘