絶景の茶農家カフェをめざして、畑までドライブ
サードウェーブコーヒーが定着し、カフェや自宅でゆっくりとコーヒーを楽しむ機会が増えた。タピオカミルクティーにタルゴナコーヒーと、飲み物のトレンドもめまぐるしく変わる。そんな流行に左右されることなく、いつも身近にあり続けるのが、日本茶。ひとくち飲めばほっとひと息つけるお茶は、ほかの飲み物とは違った癒やし力がある。
効能を見ても、お茶は優秀。抗酸化作用があり生活習慣病の予防に効果があると言われるカテキン、心身をリラックスさせるテアニン、風邪を予防するビタミンCなど、体にいい成分がたっぷりと含まれるお茶は、ジャパニーズ・スーパーフードともいえる。
有名なお茶処といえば、静岡市。市内に7か所の主要産地があり、また、全国の産地からお茶が集まり出荷されてゆく集散地でもある。そして、消費量も日本一。新茶の季節になれば山々は緑に包まれ、製茶工場にはお茶を揉む上品な香りが漂う、豊かな文化が育まれている。
産地ならではのとっておきの場所が、茶畑に囲まれたお茶カフェ。澄んだ空気と絶景のなか、五感でお茶を楽しませてくれる、とっておきの場所でもある。
訪ねたのは、「オクシズ(奥静岡)」とも言われる中山間地域。興津川沿いに静かな山里が見えてきたら、そこはお茶産地のひとつ、両河内(りょうごうち)だ。
「GREEN ∞ CAFE」はお茶農家直営のカフェ。「朝夕に興津川から立ち上る霧や柔らかな日差しを浴びる両河内茶では、雑味がなく、上品な香りと甘みを感じるお茶が育つんです」と、代表の北條広樹さん。そんなストーリーを聞けるのも、茶農家直営ならではだ。
ここでの楽しみは、畑から手掛ける和紅茶。和紅茶はその名のとおり、日本茶の茶葉を完全発酵させてつくる紅茶で、海外産に比べると苦みがなく優しい風味が特徴だ。もちろん、ひとくちに和紅茶といっても、畑で味は変わる。つまり、ここでいただくのは日本の紅茶というよりも、この畑の紅茶ということ。
店内で飲み物をオーダーしたら、地図をもらって、畑の真ん中にある絶景テラスへ。5分ほど、澄んだ空気のなかを歩くのは、ちょっとしたハイキング気分だ。あらためて、ふだん私たちが口にしているお茶は、まさに自然の恵みなのだと実感する。
あいにくの雨の日は、店内でのんびりお茶を。工場が稼働しているときには、茶葉を蒸す香りがふんわりと薫って、それもまた心地がいい。日常を忘れて、心身をリセットさせてくれる時間を過ごせるはずだ。
GREEN ∞ CAFE
所在地 静岡市清水区和田島349-4
電話番号 054-395-2203
営業時間 10:00~16:00
定休日 日曜(祝日の場合は翌平日が休み)
http://www.green8.bz/
2020.11.19(木)
文=芹澤和美
撮影=鈴木七絵