“新世代女芸人”としてオピニオンを求められるけれど
――今、「社会的なルールに苦言を呈する」という言葉が出ましたが、最近のテレビ番組では、男性中心的で、女性蔑視をいとわないような“古いお笑い”に対して苦言を呈するポジションをサーヤさんが担っていることも多いですね。
テレビの現場で、女芸人って(男性の芸人とは違う)特殊な扱い方をされることが多いんです。
とはいえ「最近は女芸人自身のあり方や、制作側のスタンスも少しずつ変わってきてるよね」っていうことで、“新世代女芸人”としてくくられて、オピニオンを求められることが増えてきて。
私はただ(ダウンタウンの)松ちゃんが好きでお笑いを始めただけで、別に女性の権利を主張するためにお笑いをやってるわけじゃないんですけどね。
フェミニストとして祭り上げられたいわけじゃなくて、おかしいと感じたことに対して「おかしい」と言っているだけ。
――時代の流れもあり、フェミニズム的な文脈でピックアップされがちですが、そもそもそれ以前の問題だと。そうした考え方の基盤にも、やはりHIP HOPがあるということでしょうか。
もちろんHIP HOPからの影響は大きいですが、大学での教育や、世代的なこともあると思います。
(出身校である)上智大学では、ジェンダー論に関する授業が多くて、自然とダイバーシティーに関する話題に触れることが多かったんです。
ちょうどその頃、インフルエンサーのkemioくんのように、もともと興味があって追いかけていた人たちがダイバーシティーについて発信をしていたことも影響しています。
そもそも私の世代であるZ世代(一般的に1990年代中盤以降に生まれた世代)って、普通に多様性を受け入れられる土壌がある程度できていて、偏見が強くない世代だと思いますね。
2020.10.06(火)
文=CREA編集部
撮影=もろんのん