「タンタンはすごく頭がいいと思う」
ホームページの「タンタンの履歴書」には、タンタンが得意なこととして「ハズバンダリートレーニング」と書いてある。ハズバンダリートレーニングは、日本語に訳すと「受診動作訓練」。健康診断の採血や検温、投薬などをストレスなく行うため、自主的に手足を出すなどの動作を、覚えさせるための訓練のことを指す。
「ハズバンダリートレーニングは、性格や環境によって、向き不向きがあります。タンタンには、資質があると思う」と梅元さん。
「そこを伸ばしていったのが、歴代の飼育員さんたちです。さらにぼくらが実際に中国に行って学び、健康診断でも使えるレベルまで、訓練してきたんです」(梅元さん)
「最初は、採血するのにも苦労したよね」と梅元さん。吉田さんも「アドベンチャーワールドのハチミツで気を引く間に採血するヤツ、すごいよね。でもタンタンはハチミツが好きじゃないから」と話す。
「タンタンはすごく頭がいいと思う。トレーニングでも、ぼくらが『こうしたら、こうしてくれるんちゃうかな』と、思う通りに動いてくれる」と吉田さん。
梅元さんも「うちはこの子だけなので、お世話に集中できるというのもあるけど、トレーニングがうまくいってるのは、タンタンの資質も大きいと思ってます。個人的には、タンタンは日本一やと思ってますよ」と笑う。2人とも、タンタンがかわいくて仕方ない様子だ。
「タンタンが高齢なこともあって、検査や投薬をスムーズにできることは大事です。わからないことがあると、中国の人たちにやり方を聞いたりしていますね。最初は、自分たちで何とかしたいという意地があったけど、やはり向こうの技術はすごいですからね」(吉田さん)
タンタンは頻繁に検査をするのだろうか?
「週に2回、エコー、血圧、聴診に歯や目の検査など、獣医師による健康診断を受けています。最初のうちは戸惑うこともありましたが、ハズバンダリートレーニングのおかげで、さほどストレスもなく、しっかりと健康管理できていますよ」(梅元さん)
2020.07.28(火)
文=二木 繁美