何にどれだけかかるか理解し漠然とした不安を明確化

 なんとなく将来像が見えてきたCREA世代は、美容やオシャレだけでなく、自己投資にもお金をかけたい時期。いっぽう、増税のニュースが続き、将来への漠然とした不安は増えるばかり……。今後の大きなライフイベントにかかるお金は足りる? 老後資金は? 考え始めるときりがない。今できることは何だろう。ファイナンシャルプランナーの前野彩さんにうかがった。

 数あるライフイベントの中から、マイホーム購入とお葬式について、3回にわたり掲載。今回はお葬式。

» 第1回 マイホーム購入
» 実例集 FP前野彩は見た!

もはや、話しにくいとは言っていられない!
「お葬式」は元気なうちからの備えが肝心!

 突然訪れることも多い、親の死。そして葬儀の後にやってくる故人の財産の整理や相続問題。故人のためにも、残される家族のためにも、元気なうちからよく話し合うことが大切だ。

葬儀の後には財産分与
すべて生前の話し合いが大切!

 親や夫がもし亡くなったときに、必要なのはまず葬儀代。最近の傾向では、親族や親しい人だけで故人を送る「家族葬」、通夜や告別式も行わず、火葬だけですませる「直葬」など、簡素な葬儀が増えている。地域の風習や葬儀社主導の大規模な葬儀ではなく、家族や故人の考え方を反映したスタイルも増えてきているようだ。無料の葬儀サポートセンターや、葬儀費用を安く手配してくれるNPO法人も心強い存在。

「葬儀の希望を生前に聞いておくことが大切。さらに、財産目録や、各所への連絡先も整理しておいてもらいましょう。親が亡くなり、通帳や保険、資産がどうなっているのかわからず大変だった、というのはよくある話。特に今後はネット上の銀行や証券会社の普及でお金のありかが分散し、ますますわかりにくくなることが予想されます」(前野さん)

 遺言書で財産分与を明確にしておいてもらうことも、相続でモメるのを防ぐための手段。

「相続税の増税が実施される可能性は大。これまで相続税は富裕層をターゲットにしていましたが、相続税の下限額が引き下げられると、中流層にも支払いをしなくてはいけない人が大幅に増えます。生前贈与などで節税対策を行うことも考慮に入れておくのがいいと思います」

 死は突然訪れるもの。考えたくないが、元気なうちに最期の話をするのは、肉親だからこそできること。そして、自分の財産も、残った人のために明確にしておくことが必要だ。

CREA世代女性アンケート

Q:お葬式にはどれくらい用意していればいいと思う?
A:100万円

 多くの人が100万円を目安にしている。最近はお葬式の規模が小さくなり、家族やごく親しい内輪だけで行われる家族葬も増えている。不明瞭だった葬儀費用をオープンにして、価格を競う葬儀社もあり、昔よりはお金がかからなくなってきているようだ。

実際には約200万円
(葬儀全国平均199万8861円 ※日本消費者協会2010)

 葬儀一式、寺院費用、飲食接待費用を合わせた葬儀費用の全国平均は約200万円。都市部では小規模な葬儀が増えているものの、全国平均ではやはりかなりの高額。ただし、2003年まで右肩上がりだった葬儀費用も2005年からは減少傾向。家族葬は50万円~。

遺産分割事件の新受件数(審判+調停)の推移

※最高裁判所「司法統計年報(家事事件数)」

遺産分割の裁判はこの25年で倍増

 裁判所の遺産分割受件数は年々増加しており、2010年は13597件にも。件数はコンスタントに増えているが、平均審理期間は短縮化傾向にあり、同年の結果では、平均12カ月。6割以上で調停が成立しているが、全体の1割弱は審理期間が2年を超えるものもあるよう。遺産分割をめぐる争いは、関係の修復が難しいとも言われる。

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2013.01.18(金)
text:BEAM(Yoko Maenaka / Rie Tanaka)

CREA 2013年2月号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

この記事の掲載号

一生分のお金のつくり方

CREA 2013年2月号

今、財力こそ女の武器!
一生分のお金のつくり方

定価 670円(税込)