校門では検温など防疫する学校

 台湾の公立学校は、1月21日(火)~2月10日(月)までが本来の冬休みだったが、2月2日(日)の定例会見で、2週間の休校の延長を発表した。

 高校以下の学校は、2月25日(火)の始業とした。それに伴い、大学は各校ごとの判断で3月上旬の始業を決めた。この時期はまだ台湾国内で感染が拡大していたわけではなく、初期の予防措置といった印象だった。

 というのも、春節には、広く海外旅行を楽しむ傾向があるため、海外で家族ぐるみで感染した可能性を想定し、潜伏期間とされる2週間の休校措置を取ることで、学校にクラスターを発生させるのを防いだのだと思われる。

 そして、政府は、ほぼ同時期に企業や組織に子育て休暇の取得を認めるよう要請。12歳以下の子を持つ親は最大で2週間の休暇が取れるようにし、それを理由にした解雇の禁止が定められた。

 休暇中の賃金については、勤務先によって無給、半給、有給などさまざま。夫の会社は、当初は半給と発表したが、のちに有給となり、2週間の有給休暇が取れる格好になったが、さすがに2週間も休んだら査定に響くだろう、と苦笑いしていた。

 実際は、私が取材で出かけねばならなかった2日のみ申請してもらったが、夫のほうにも外せない会議があり、私が家を空ける取材時間のみ在宅してもらい、行き違いとなった1時間は、子どもを1人で留守番させてしのいだ。

 保護者が仕事を休めずとも、この2週間については、日本の民間の学童にあたる「安親班」やスポーツクラブが冬休みの特別プログラムを延長し、朝から夕方まで預けることができた。

 料金は1日1,000(約3,600円)〜1,600元(約5,760円)ほどで、思わぬ出費を強いられることになるが、子どもにとっては、同世代と一緒に運動や工作、レクリエーションなどを楽しむことができ、よい気晴らしになったはずだ。

 しかし、これは今でいう3密状態。そんなことができたのは、当時は国内感染が拡大していたわけではなかったためである。今の日本で真似できることがあるとしたら、政府が企業に特別休暇を取らせるよう要請することのほうだろう。

 始業にあたっては、メールやプリントなどの形で、休み中に中国、香港、マカオへ行ったかどうかを問うアンケートがあり、該当者は帰国日から2週間、登校禁止となった。

 毎日、校門では検温が行われ、37.5度以上あると別室で待機。日中も検温が実施され、異常が見られると、別室へ移される。息子の通う学校では、検温を担当するボランティアの労力を軽減すべく、のちに赤外線モニターが導入された。

 また、学校によっては、各生徒の机をアクリル板で囲って飛沫飛散防止をするなどの対策が取られていたようだ。

 マスク着用は健康であれば任意だったが、ほぼ全員が終日着用している。感染者が出た場合、在籍しているクラスは2週間の学級閉鎖、全校で2名の感染が確認された場合は2週間の休校と決められた。そうした事態に備え、始業後すぐに自宅のインターネット環境等の調査が行われた。

 これはリモート学習に備えたもので、小学3年生から始まっているコンピュータの授業では、パスワードを使ったアクセス法なども学習済みである。5月に入ってからは、実際に自宅のパソコンを使ってのテストも行われ、準備万端といったところだ。

 あらゆる行事がキャンセルとなり、イベントといえば中間&期末テストぐらいしか見当たらないスクールライフだが、何事もなく通えているのは、諸外国の状況を思うと、とんでもなく有り難いこと。

 学校生活も、日々の暮らしも、今ある安心は、官民一体の努力のもとに成り立っているもの。どうかこのまま持ちこたえてほしいと切に願う、今日この頃だ。

2020.05.13(水)
文・撮影=堀 由美子