現在の台北の街並みはいかに

 徹底管理の甲斐あって、これまでの感染経路不明者は、わずか10人。また連続25日で国内感染例がないことから、5月7日(木)現在、市中感染の心配はかなり少ない

 そのため、市民の生活は、ほぼ通常通りで、外食を楽しむこともできる。レストランやカフェ、フードコート、ファストフード店などは、半分程度の椅子やテーブルを片付け、客席の間隔を十分に取り、店によってはアクリル板で、周囲に飛沫などが飛ばないよう工夫されている。

 また、多くの店がテイクアウトに対応しているため、来店時に空席がなければないで、持ち帰りに切り替えるなど、皆、柔軟に使いこなしている。

 ただ、宴会向けの大型レストランの経営はなかなか厳しく、持ち帰り用のパックを店頭で販売して踏ん張る店もある一方、一時休業を決めるお店も出てきている。

 マンゴーかき氷が日本人に人気のスイーツ店も、先日一時休業したばかり。ただ、こうした閉店のお知らせに悲壮感はあまり感じられず、再開への前向きさすら感じる。特に若い世代は、起業や開店に関しては思い切りが良いので、たとえ閉店したとしても、立ち直りは早いはずだ。コロナ禍が終息したあかつきには、逞しくバージョンアップしたお店を再オープンしてくれるものと信じている。

 逆に、閉店を発表した途端、古くからのファンが支援に駆けつけ、営業継続を決めた老舗もあり、悲喜こもごもといったところだ。

 一方、政府の命で営業停止となっているのはナイトクラブとダンスホールぐらいではないだろうか。

 これは、奇しくも志村けんさんの訃報が台湾でも大きく報じられた頃、感染経路不明と判断された女性が、ナイトクラブの店員という身分を隠していたことが判明し、政府はクラスター発生源となるのを防ぐべく、即刻営業停止にした……という経緯がある。※その数日後には、従業員に対する最高で3万元(約10万8,000円)の緊急支援も発表。

 コンサートなどのエンターテインメントは、屋内100人、屋外500人以上の集会の自粛要請があったため、久しく行われていなかったが、4月30日(木)に「防疫新生活運動」という名のキャンペーンを発表。マスクの着用と、台湾では「社交距離」というソーシャルディスタンスを保つことを前提に、屋外でのレジャーを事実上解禁。コンサートやスポーツ鑑賞、ハイキングなどが可能になった。そのため、台湾のプロ野球は、上限1,000人の観客を入れての開幕が決定した。

 ちなみに、世界的に励行されているソーシャル・ディスタンスについては、日本が始めたのとほぼ同時期からの動きで、先手先手を打って来た台湾にしては、スロースタートだったといえる。

 この時期には、既に新規感染者は海外帰国組とその関係者のみで、市中感染の恐れが少ないなかの動きだったこともあり、今さら感があったようだ。そのため、今日に至るまで、非常にゆるーく実行している……といった印象だ。

2020.05.13(水)
文・撮影=堀 由美子