郷土料理こそがイタリア料理の真髄!

 イタリア各地方の郷土料理や、マンマが工夫して作った料理を研究している齊藤奈津子さんが、家でも出来る簡単なイタリア料理をご紹介します。


パン粉をチーズに見立てた、シチリア州の絶品パスタ

 今回ご紹介するパスタは、シチリア州の郷土パスタ「アンチョビとパン粉のスパゲッティ」です。

 これはシチリア州を代表するクッチーナ ポーヴェラという料理の一つです。

「cucina povera(クッチーナ ポーヴェラ)」とは直訳すると貧乏人の料理という意味で、庶民の料理をさします。

 それに対し「cucina ricca(クッチーナ リッカ=金持ちの料理)」という料理もあり、主に貴族が食べていた料理などを指します。

 家庭料理の真髄はクッチーナ ポーヴェラにあり、昔、食材が乏しかったとき、農民や漁師、家庭のマンマたちが、身近な食材や余った食材を使って工夫したお料理です。

 そこには知恵や残さず食べる精神が詰まっていて、シンプルでとても美味しいのです。

 クッチーナ・ポーヴェラこそが、今も数多く残るイタリア郷土料理の基盤であり愛されています。

 このアンチョビとパン粉のスパゲッテイは、パン粉をチーズに見立てて作ったと言われています。

 恐らく余ったパンを使ったのでしょう。食材を美味しく最後まで使うという庶民の知恵と、イタリア人らしいユニークさが詰まっています。

 日本でもご家庭にあるパン粉を使って、簡単に作れます。

プリモピアット(パスタ)「アンチョビとパン粉のパスタ」のレシピ

■材料(2人分)

・スパゲッティ:180g
・にんにく:1かけ
・アンチョビ:4切れ
・パン粉:大さじ4
・オリーブオイル:大さじ4
・塩こしょう:適量

■作り方[所要時間:25分]

(1) にんにくは包丁の背でつぶす。

(2) フライパンにオリーブオイル大さじ2とパン粉を入れ、パン粉がきつね色になるまで炒める。炒め終わったら、別のお皿によけておく。

(3) フライパンにオリーブオイル大さじ2と(1)のにんにくを入れ、弱火にかける。

(4) にんにくの香りが出たらアンチョビを入れ、木ベラで細かくつぶしながら、弱火で30秒ほど炒める。

(5) スパゲッティをアルデンテに茹でる。

(6) (4)に、お玉1杯分のパスタの茹で汁を入れ、塩こしょうをする。

(7) アルデンテに茹でたスパゲッティを、アンチョビが入ったフライパンに入れ、最後に(2)のパン粉を加え、素早くかき混ぜる。

★Point

・アンチョビは、油が飛び跳ねる場合があるので弱火で炒めてください。
・パン粉は、カリカリ食感を楽しむめに、色づくまでしっかり炒めてください。
・お好みで鷹の爪を入れても美味しいですよ。

齊藤奈津子(さいとう なつこ)

イタリア料理研究家。TVディレクターとして様々なジャンルのテレビ番組を制作するうちにイタリア料理の素晴らしさに目覚め、2009年、イタリア料理研究家1級を取得し翌年イタリアのフィレンツェへ料理留学。帰国後、イタリア各州の郷土料理を紹介する「イタリア家庭料理教室180℃」を開業。イタリアの食文化、そしてチョコレートを広める活動を続けている。インスタ:@natsukosaito0104

Column

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2020.05.07(木)
文・撮影=齊藤奈津子