買い占めに走る「親の姿」を見ている
幼児の場合、新型コロナウイルスのニュースはグラフや数字が多く、簡単には理解できるものではありません。でも、ニュースを見ている大人たちの様子を見て「何か大変なことになっている」ことはわかる。
トイレットペーパーを殺気だって買い占める親の姿を見たら、子どもがどう思うのか。いま一度考え、落ち着いて欲しい。
今回は「映像による恐怖」がない分、親の言葉の影響が大きくなっています。連日伝えられるショッキングなニュースに、親の方がパニックになってしまい、興奮した親の言葉が子どもを傷つける恐れがあります。
東日本大震災のときも、無邪気に津波の真似事をして遊んでいた子どもたちに、親が「津波が来たら家も流れてメチャクチャになるのよ」と叱って、心理的に悪影響を及ぼしたケースがありました。
それが事実だったとしても、子どもにとっては一種の脅しのように聞こえてしまうのです。
親同士の会話にも注意が必要です。家庭で咳をした父親に、母親が「パパ、コロナじゃないの? いやだ、こっちこないでよ」と言ったとします。大人同士であれば、それが他愛もない冗談で済むでしょう。
でも、それを聞いた子どもたちはどう思うのか。次の日学校で、咳をした友達に対して「お前コロナだ、こっちくんな」と言うようになる。子どもたちは日常の出来事を、自然と遊びのなかに取り入れていきますから。
2020.04.19(日)
文=「文春オンライン」特集班