デリバリーはピンポンダッシュで
新型コロナウィルス感染拡大の防止策として、イタリアをはじめ、スペイン、フランスなどヨーロッパ大陸の各都市につづき、英国も2020年3月23日(月)に外出制限命令が出され、いわゆるロックダウン(都市封鎖)となりました。
それより遡ること1週間前の3月16日(月)から、ボリス・ジョンソン首相または政府の要人による毎日の恒例会見がスタート。
「人の集まるところに行かない、できるだけ家で仕事をする」という提案から始まり、休校(医療関係など現在必要とされている職種に従事するキーワーカーの子供は例外)のお知らせ、そしてパブ、レストラン、ジムなどの全面クローズの指示へと徐々に内容が厳しくなっていき、3月23日(月)の会見でロックダウンへと至りました。
内容としては、以下の4つの場合を除き外出を禁止とするもの。
①食料など生活必需品の買い出しのための最低頻度の外出
②1日1度の運動のための外出
③自らの医療のため、また隔離されている人を助けるための外出
④どうしてもリモートワークできない場合の通勤のための外出
結婚式や洗礼式も禁止、葬儀も最少人数の身内のみの参列で、と付け加えられていました。
また、上記の理由により外出する場合も、人との距離を2メートル以上とること(ソーシャル・ディスタンシング)が要請されています。
同じ家に住んでいる人と行動するのはOKですが、そのほかの人と交わるのはNG。デリバリーもピンポンダッシュのように、荷物をドアの前に置いていくというスタイルが主流に。
受け取りサインが必要な場合は、サインがわりに、開いたドアの前に配達物を置いて写真を撮ることで代用しているバイク便も。
各社、人との距離を保ちつつ、通常の業務を行えるように努力しているようです。
ここ1週間は空っぽの小麦粉の棚
ロンドンの地下鉄やバスも、運行をしてはいるものの、運行頻度を減らしたり、地下鉄駅は一部閉鎖したり、という策を講じています。
スーパーや小さな商店も、ソーシャル・ディスタンシングの2メートルを確保するために、店内に入れる人数を制限していて、時間帯によっては2メートル間隔の長い点線のような列を見かけるようになりました。
供給が不足しているものにも段階があって、ロックダウン直前からしばらく、店の棚から姿を消したのが、いずこも同じトイレットペーパー、除菌ジェル、そしてパスタなど日持ちのする食品、卵。これらが棚にぼちぼち戻ってくる頃に不足し始めたのが小麦粉で、いまだにどこのスーパーにも置いていません。
卵に関しては、外食産業に流れる予定だったものが、間もなくスーパーなどへのルートを確保したようで、現在は問題なし。
おそらく同じように小麦粉も一般消費者向けに小分けにする術と、流通のルートが整い次第、近くスーパーの棚に戻ってくるのでは……と期待しています。
文・撮影=安田和代(KRess Europe)