心身ともに満たされてこそ、健康的な美しさは手に入れられるもの。
感情の起伏を味わったり、発見を得たり、本の世界にディープに浸って、気持ちをほぐせる本を、ライターの瀧井朝世さんに教えていただきました。
三角関係のなかの孤独、傷心、共感
井上荒野
『あちらにいる鬼』
「篤郎がいないときのほうが、私と彼女との間に篤郎が『いる』感じがする」──p.221
著者の父は作家の井上光晴。
彼の妻と、彼と恋仲だった瀬戸内寂聴をモデルに、2人の女性の視点から長年にわたる3人の関係を綴った小説。
身勝手な男に惹かれる思い、女性同士がお互いに抱く共感めいた気持ちを克明に綴り、男女の不可思議さを浮き彫りにしている。
2019.10.01(火)
Text=Asayo Takii
Photographs=Wataru Sato〈still life〉