竹馬に乗った漁で
悟りの境地に至る?

 ビーチを散策していると、やはり気になるのが、この界隈で名物となっている竹馬漁の漁師さん。足を引っかける小さな杭と座面を施した2~3メートルの竿を浅瀬に突き刺し、サバやイワシを狙うのです。

 エリアによっては何十本もの竿が海に突き刺さっている漁場もあります。

 このユニークな漁法が誕生したのは、第二次世界大戦の頃。

 食糧不足と漁場の混雑から、賢い漁師の数人が海の中で釣りをすることを思いつきました。最初は沈没船や沈飛行機の上で行っていたのが、直立する竿を使うように。

 今でもウナワトゥナからウェリガマの間の約30キロのエリアでのみ、このスタイルが残っているそうです。

 竹馬漁をやっているリラーラットさんに、岩場から声をかけてみました。

 朝7時から釣り糸を垂らしているけれども、(昼近くになっても)まだ何も釣れない、16時までここでこうしている、とのこと。お弁当を入れた袋を竿にさげて、日がな一日、竿の上で漁を続けることを16歳から53歳の今でも続けているという彼、穏やかな顔をしていました。

 この竹馬漁がユニークなのは、竿に乗るスタイルばかりではありません。なんと釣り針に餌が付いていないのです。リチウム製の針が水中できらきらと光を放ち、それにつられて食いつく魚を狙うのだとか。竿に乗って、餌の付いていない針で、いつ来るかもわからぬ魚を待つ、悟りの境地です。

2019.11.30(土)
文・撮影=古関千恵子