オルタナティブとしての
「木曜ドラマストリート」
大野 ほかにも80年代には新しいタイプの2時間ドラマがたくさん出てきました。
速水 小学生時代に僕のクラスがみんな観てたのは「木曜ドラマストリート」。
大野 若者向けに企画された2時間ドラマの枠でしたね。
速水 アイドルが主演をしたり、赤川次郎原作の作品が多かったりしたのも当時、赤川次郎が大好きだったのでよく覚えてます。
大野 赤川次郎さんはその頃かなりフジテレビが独占的にやってたんじゃないかな。
速水 その前にはテレビ朝日系の土ワイでも「三毛猫ホームズ」シリーズをやってたんですよね。
大野 それが終わった後、しばらく赤川次郎さんは土ワイをやらなかったはず。「三毛猫ホームズ」シリーズは、たしか東映が権利を取っていて、その権利が切れた後、フジテレビに赤川さんが行っちゃってるんじゃないかな。
速水 赤川次郎は都会を舞台にした物語を得意とする作家というのもあったんでしょうけど、あまり旅はしないですよね。
大野 しないですね。
速水 こうした事例をみても、80年代においては2時間ドラマって必ずしも旅情一辺倒ではなかったんですね。
大野 2時間ドラマが旅情サスペンス一辺倒になるのは、90年代以降でしょうね。土ワイはともかくとして、火サスも90年代以降は旅情もののシリーズが主体になります。
速水 これはぜひとも聞きたかったんですけど、2時間ドラマが今のように陳腐なものの代表のようになったのっていつなんでしょう?
大野 まさに、その90年代の半ばくらいですよね。テレビのマンネリ化の代表みたいな捉え方で見られるようになってしまいました。
速水 見る側も高齢化、保守化したんですね。
大野 80年代までは、土ワイでもシリーズものの割合は、3割から4割。全体の半分はいってませんでした。それが90年代から土ワイも火サスもシリーズが増えて、最後の方はほぼシリーズものしか残ってなかったんです。
速水 その辺りが2時間ドラマの転機でしたね。
大野茂×速水健朗
2時間ドラマの歴史を探る
2018.10.17(水)
構成=速水健朗
撮影=深野未季
写真=文藝春秋
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