コミカルな演技が新境地となった
『チェリーボーイズ』
――そして、最新出演映画『チェリーボーイズ』ですが、体にコンプレックスを持っている25歳の童貞・吉村の役作りについて教えてください。
林遣都くんが演じる国森も、前野朋哉くんが演じた高杉も、見た目の風貌からして童貞のキャラクターなんですが、僕が演じた吉村は普通の公務員で、普通に女性ともコミュニケーションできる設定なので、セリフの語尾だったり、童貞が考えるだろうカッコつけ方などを研究しました。それでセリフ回しを聞いていて、スンナリ入ってくるとか、そういうところとは違う、棒読み的な言い回しで、お客さんにわざと違和感を与えるような芝居を目指そうと思いました。
――共演された林さん、前野さんとの現場での雰囲気を教えてください。
それでも「これで大丈夫なのか?」と不安でしたが、現場に行って3人でツルんで、一緒に芝居することで、自然と童貞臭が出てきたような気がしました(笑)。また、現場では台本を軸に、3人それぞれの考えや妄想を話し合うのが楽しかったですし、ロケ帰りのバスの中も盛り上がっていました。
――今回のコミカルな演技は、栁さんにとって新境地ともいえますよね。
小さい頃は人前に出て誰かを笑わせることが好きだったんです。今回は笑わせているというより、笑われる芝居なので、違うといえば、違うんですが、お客さんに笑ってもらえる作品に出ることができたのは嬉しいです。今まで殺し屋だったり、病んでいたり、どこか怖い感じの役が多かったんですが、そうじゃない役を演じられたことの嬉しさもありながら、自分の力量も分かりました。自分にとって、新境地というか、ピースがひとつ増えた感じがします。
自身も憧れてきた
“男が憧れる映画”に出たい
――今後、どのような役を演じていきたいなど、展望を教えてください。
たとえば、『あの頃ペニー・レインと』に出てくるギタリストのような、僕が影響されてきた“男が憧れる映画”に出たいです。その映画のようなロードムービーの世界観にも入ってみたいし、若い人たちで作るような熱い青春映画や群像劇にもどんどん出てみたい。坂口健太郎や上杉柊平とはモデル時代から仲がいいので、いつか現場で一緒になりたいですね。彼らと芝居する姿は想像できないですけれど(笑)。もちろん、浅野さんともまた共演したいです。
栁俊太郎(やなぎ・しゅんたろう)
1991年5月16日生まれ。宮城県出身。2009年 「第24回MEN'S NON-NOモデルグランプリ」を受賞し、モデルデビュー。11年に俳優活動を始め、『クローズEXPLODE』(14年)、『ストレイヤーズ・クロニクル』(15年)、『東京喰種トーキョーグール』(17年)などに出演。現在、ドラマ「オー・マイ・ジャンプ!~少年ジャンプが地球を救う~(TX系)」に出演中。
『チェリーボーイズ』
地方都市で暮らす国森(林遣都)、吉村(栁俊太郎)、高杉(前野朋哉)のボンクラ3人組。それぞれ仕事も恋愛も思うようにいかないまま25歳になっていた。そんな彼らが一念発起、情けない自分を変えるべく、笛子(池田エライザ)をめぐる脱童貞作戦に乗り出す。
http://cherryboys.net/
(C)古泉智浩/青林工藝舎・2018 東映ビデオ/マイケルギオン
シネ・リーブル池袋、渋谷TOEIほかにて公開中。以降、全国順次公開。
くれい響 (くれい ひびき)
1971年東京都出身。映画評論家。幼少時代から映画館に通い、大学在学中にクイズ番組「カルトQ」(B級映画の回)で優勝。その後、バラエティ番組制作を経て、「映画秘宝」(洋泉社)編集部員からフリーに。映画誌・情報誌のほか、劇場プログラムなどにも寄稿。
Column
厳選「いい男」大図鑑
映画や舞台、ドラマ、CMなどで活躍する「いい男」たちに、映画評論家のくれい響さんが直撃インタビュー。デビューのきっかけから、最新作についてのエピソードまで、ぐっと迫ります。
2018.02.23(金)
文=くれい響
撮影=末永裕樹