新作「五百羅漢図」など、60点以上の代表作が集結
日本を代表する現代美術家、村上隆の大回顧展「Murakami - Ego」が2月9日から中東カタールの首都ドーハで始まった。村上が海外で大規模な個展を行うのは、2007年のMOCA（ロサンゼルス現代美術館）、2010年のフランスのベルサイユ宮殿に続いて3回目だ。
Qatar Museums Authority(QMA)が主催する展覧会の会場は、ドーハ市内のAl-Riwaqエキシビションホールの約5000平米のスペース。ここに1997年の作品から最新作まで、60点以上の代表作が集結した。「DOB君」や「たんたん坊」など、日本のアニメやフィギュアからインスピレーションを得たお馴染みの作品も多く含まれている。
巨大な人物座像
会場では、まず最初に村上自身をモデルにした巨大な人物座像が観客を迎える。
ちなみに展覧会のタイトルにある「Ego」とは「アーティストの自我」を意味している。個人のエゴにすべての基礎を置く欧米的なアートの価値感と、我欲を超えたところに本物のアートの境地を見ようとする東洋的な価値観。展覧会には、このふたつの対比や共存を示す狙いもあるという。
そして今回の展示で最も注目を集めているのが新作の「五百羅漢図」。縦3メートル横1メートルのキャンバスに描いた羅漢図100枚を横に繫いだ幅100メートルの大作だ。羅漢とは仏教で釈迦の弟子を指し、日本では古くから仏画や仏像としてさまざまな羅漢図や羅漢像が作られている。村上は東日本大震災以後の日本をテーマにして、この作品を制作した。
注目を集めている新作の「五百羅漢図」
単に日本発のポップカルチャーの参照だけではない、アーティスト村上隆の凄みを感じさせる作品だ。
2012.03.11(日)
