ワイン・アワードを総なめにする
注目の産地、キャメル・バリー

 緑色の葉がふさふさと揺れるキャメル・バリーのブドウ畑は、コーンウォールのちょうど南海岸と北海岸のなかほど、キャメル川沿いの傾斜地帯にあります。1989年、オーナーのボブ&アニー・リンドー夫妻が、手で植えたこの8000本のブドウの木から、キャメル・バリーのワインをめぐる物語は始まりました。

ボブさんとアニーさんが手で植えた8000本のブドウの木は、いまもバー兼ショップの前に広がっています。(C)Camel Valley Wines 2017

 最初にワインの製造を行ったのは、1991年のこと。「最初の年にできたのは、80リットル。全部自分たちで飲んでしまいましたね」とボブさんは思い出し笑いを浮かべます。翌1992年には6000~7000本のワインを出荷。商業ベースにのせることに成功しました。

左:オーナーのボブ・リンドーさん。
右:夫婦それぞれ別々のワイン畑を持つことが円満の秘訣、というボブさん。こちらのアニーさんの畑の方が、常に出来がいい、とのこと。

 もともと英国空軍のパイロットだったボブさん、遡ること1982年にこの土地で酪農を始めたのですが、この傾斜の部分の牧草が毎夏、乾燥のために茶色く変色してしまうことに気づきます。「もしかして、ブドウの栽培ならこの土地に合っているのでは?」と思いつき、そこからワインの製造について猛勉強。手探りでワインづくりへと踏み切ります。

左:ワイナリーの壁には、地元コーンウォールの人気シェフ、リック・ステインが1999年にオープンしたという金色のプレートが。
右:定番商品のなかから、ボブさんがおすすめしてくれたのが、このロゼのスパークリング・ワイン。フルーティーでさっぱりとした飲み口。

 最初は8000本から始めたブドウの木も現在では2万4000本、定番商品として5種類のスパークリング・ワインと3種類のノンスパークリングの白ワイン、そしてロゼを1種類製造しています。

 これらのワインは、2005年のインターナショナル・ワイン・チャレンジで、ゴールドメダルを獲得したのをはじめ、さまざまなワイン・アワードを受賞。快進撃は止まる様子がありません。

 その成功を受けてボブさんは、「20年後にこれほど大きくなっているなんて、想像もしませんでした。明日のことだってわからないんだから」と笑います。現在、ワインづくりを担当しているのは、父のあとを引き継いだ息子のサムさんです。

ホリデーコテージは、キッチンもリビングルームも完備の一軒家。自宅のようにくつろげます。(C)Camel Valley Wines 2017

 キャメル・バリーでは、ワインをグラスでオーダーできるバーが併設されたショップがあり、またブドウ畑ツアー(テイスティング付きもあり)を催行しているほか、1週間単位で借りられるホリデーコテージも2軒あります。

 ウォーキングをするもよし、ここを拠点にコーンウォールのさまざまな土地をめぐるもよし。ブドウ畑を見下ろしながら、のんびりとコーンウォールの自然を満喫することができます。

Camel Valley(キャメル・バリー)
所在地 Nanstallon, Bodmin, Cornwall PL30 5LG
電話番号 01208-77959
http://www.camelvalley.com/

【取材協力】
英国政府観光庁

https://www.visitbritain.com/jp/ja

Visit Cornwall
https://www.visitcornwall.com/

VisitDevon
http://www.visitdevon.co.uk/

安田和代(KRess Europe)
日本で編集プロダクション勤務の後、1995年からロンドン在住のライター編集者。日本の雑誌やウェブサイトを中心に、編集・執筆・翻訳・コーディネートに携わる。
ロンドンでの小さなネタをつづったフェイスブック www.facebook.com/kresseuropelimited
運営する編集プロダクションのウェブサイト www.kress-europe.com