産地ではなく
あえて「ロースター」から厳選

店内では、好みの豆をエスプレッソかコーヒーのいずれかでオーダーして、カウンターでいただくことができる(価格は豆の種類によって異なり、1杯350円~950円)。

 構想4年、ありそうでなかった「コーヒー豆のセレクトショップ」を始めるにあたり、主役として迎えるコーヒー豆の選び方にも、新たな視点を取り入れた。

「Mameyaで取り扱うコーヒー豆は、産地ではなく、ロースター(焙煎工場)で選んでいます。なぜなら、たとえ同じ産地の豆でも、焼く人によって味わいがまったく変わってくるからです。ロースターが産地をセレクトし、良い農園を探してくるのと同じように、僕たちバリスタは世界中から優れたロースターを探して、より美味しいコーヒー豆を仕入れてくる。ロースターとお客様との間にバリスタが立つことによって、コーヒーの価値をより引き上げることができると思っています」

左:現在、取り扱っている豆は全15種類(変動あり)。
右:中には、エチオピア産の「アベラゲデラ」など、なかなかお目にかかれないレアなフレーバーも。

家で飲むコーヒーの満足度を高めるために

 もし極上のコーヒー豆を手に入れたとしても、それを適切に抽出することができなければ、本物の味わいを楽しむことはできない。正しい淹れ方を知り、家で飲むコーヒーの満足度を高めるためには、バリスタとのコミュニケーションが重要なポイントになると國友さんは考えている。

「Mameyaの店内には、カウンター以外は何もありません。普通のショップであれば、棚に置かれた豆を自分で選びとって、レジへもっていけば購入することができますが、ここではまず、バリスタとのコミュニケーションがマスト。僕たちがカウンターに立って、お客様がいらした際には、『いつもどんな道具をお使いですか?』という部分からお伺いしていきます。本格的にドリッパーで淹れている方もいれば、手軽なコーヒーメーカーを使っている方もいるでしょう。いずれのケースでも、僕たちバリスタは、コーヒー豆を液体に変えるプロという目線から、それぞれのお客様に応じた豆の選び方と、コーヒーの淹れ方をアドバイスさせていただきます」

毎朝、家で豆を挽いてコーヒーを淹れているというヴォーンさん。「奥さんにもっと美味しいコーヒーを飲ませてあげたい!」と、國友さんとともに、Mameyaのカウンターに立つヘッドバリスタの三木隆真さんに相談中。

 続々と新たなコーヒー店が誕生し、人々が日常的にさまざまなフレーバーと出会う機会が増えた現代では、コーヒーの好みも多様化している。そうした幅広いニーズに寄り添うべく、Mameyaでは、世界各地にある5つのロースター(オーストラリア、香港、京都、名古屋、福岡)から仕入れた、個性豊かな15種類の豆を取り揃えている。

「僕たちが実際に各地のロースターへ足を運び、お家で飲んで美味しいコーヒー、これまでに出会わなかったような新たな味わいといった視点でセレクトしました(オーストラリア・メルボルンのロースター巡りには、故郷ということでヴォーンさんも同行してくれたんです!)。そうしてロースターから預かった大事な豆を、お客様の好みに合わせてセレクトし、いつも使っている道具や方法をお伺いしたうえで、お家で美味しく飲んでもらうところまでサポートする。これは、バリスタだからこそできる役割だと思うんです」

左:コーヒー通のヴォーンさんだが、まだ自分の好みにぴったりのコーヒー豆には出会えていない。「Mameyaならマイベストが見つかりそう!」と目を輝かせる。
右:「コーヒーを通して、世界中に仲間ができました」と語る三木さん。丁寧な手仕事と、親切なサービスが魅力的。

2017.04.22(土)
文=中山理佐
撮影=佐藤 亘