雲丹と肉の組み合わせは
人を幸せにする

 アレクサンダーのシグネチャーメニュー、雲丹トーストのお目見えだ。外はカリッと中はしっとり、香ばしくトーストされたブリオッシュのうえに、牛の骨髄で煮込んだ和牛のオックステール。そこにサウザンアイランド・ドレッシングをかけ、北海道産のウニをトッピング。なんという贅沢な逸品。

三位一体とはこういうことを言うのだな。

 「お待たせしました!」メインディッシュのステーキが、ついに教壇にあがる。

 アレクサンダーで扱う主な肉はアメリカのもの。USDAを取得するプライムグレードのステーキ肉や希少なホルスタイン牛などを輸入し、独自のプログラムで28~100日(!)熟成したベストを提供する。

 それを叶えてくれるのが、国内最大級の熟成庫だ。さらに、日本ではここでしか扱わない希少牧場のものもある。

グリーンペッパーソースが添えられた、NYストリップ。

 この日サーブされたのは、ミディアムレアに焼きあげられたNYストリップ。なんと、40日熟成。一番人気というグリーンペッパーソースが添えられているほか、「お好みでどうぞ」と6種の塩もサーブされた。

 長崎のイカ墨塩、香川の粗藻塩、ベトナムのカンホア塩、沖縄のミネラル塩、熊本のささ塩が並んでいるが、なかでも面白いのがヒマラヤのマグマ塩。

ほんのり硫黄香がするマグマ塩。これがなかなか合う。

 あえてソースをかけない皿も出してもらった。うん、これだ。塩も何もつけなくてもうまい。40日熟成ならではのやわらかさ、そして、40日で花開いた赤身のうまさ。

 焼き方にも秘訣があるのか尋ねると、なんとこちらは炭火焼き! 備長炭で焼いている。

この断面の美しさ! 炭の香りが移り、いっそうおいしくなる。

 「台湾店では、100日熟成の肉をお出ししたこともあるんですよ」というスタッフ。どんなおいしさなのだろうと、と興味津々になったところでデザートタイム。まさかバナナパイはビーフ入りではないはず……? 「いえいえ、まだお勉強は続きます」

 口直しのゆずカスタードのあとに、まさかの牛脂入りバナナパイが!

 「~尽くし」というのはよくあるが、まさかデザートにまで牛のエッセンスが入っているとは!

 ほんとうにすばらしいコース。

はちみつとバナナのピューレ。スイーツは別腹だ。

「牛の命をリスペクトしたいので、いろんな部位を食べていただきたいとスタディコースを考案しました。これは東京店独自のアイデアなんです」

 これはもうまるで肉懐石……いや、あえてこう書かせていただこう、肉解析と。もはやここはステーキハウスという枠を超えた、おいしいもの好きを満足させる空間なのではないか。

「最後は“ハッピーエンド”をどうぞ」

 出てきたのはカラフルなわたあめ。

「お客様の食事がハッピーエンドで終わりますようにとの思いを込めて提供しています」

パーフェクトナイト!

 なんとすてきなエンディング。

 最後にもうひとつ「わお」が出た。

ALEXANDER'S STEAKHOUSE
(アレクサンダーズ ステーキハウス)

所在地 東京都港区東新橋1-5-2 汐留シティセンター42F
電話番号 03-6264-5151
営業時間 11:30~15:30、17:30~23:30(日曜・祝日 ~22:30)
定休日 無休(汐留シティセンターに準ずる)
予算 20,000円
http://alexanderssteakhouse.jp/
[2017年1月訪問]

Keiko Spice(けいこ すぱいす)
東京都生まれ。得意なディスティネーションはハワイと香港。普段は3日に1回のペースで焼肉を中心とした食生活。別名「肉の妖精」。

Column

新店来訪! 美味しい出合いに一番乗り

ニューオープン、シェフやメニューが変わった店、面白い企画を立ち上げた店……などなど、なにかと「新しい」店を一番乗りで紹介するページ。「美味しい出合い」にご注目ください!

2017.03.27(月)
文・撮影=Keiko Spice