音楽評論家/音楽プロデューサーの冨田明宏さんが、2010年代のベストアニメ音楽について教えてくれました。
» 第1回 アニメの枠を超える劇伴
» 第3回 新世代アニソンポップ&ロック
» 第4回 注目のアニソンダンスミュージック
» 第5回 キャラクターの個性で魅力倍増
先端的な映像表現に
見事呼応したアニソンとは?
先鋭的な映像表現に呼応するかたちで、日本の音楽シーンを代表するトップアーティストたちもアニメ音楽に参戦。ひと昔前の、J-POPアーティストの“無関係”なアニソンとは違う、映像と音楽、双方のクリエイティヴが結実した名曲たち。
◆ BUMP OF CHICKEN
「アンサー」
『3月のライオン』の原作者・羽海野チカとバンプのコラボレーションは約3年前から始まった。お互いがお互いのファンだったことから生まれた2014年「ファイター」も最高だったが、この「アンサー」も負けていない。センチメンタルなメロディとバンドアンサンブルの中で、静かな情熱をたぎらせるように藤原基央の歌声が響いていく。
BUMP OF CHICKEN「アンサー」
『3月のライオン』OPテーマ
トイズファクトリー
※iTunes Storeなどで配信
◆ 9mm Parabellum Bullet
「インフェルノ」
TVアニメのOPやEDはオンエアの都合上1コーラス=90秒という尺が決められており、「たった90秒で何を語るか」に苦心する。しかし9mmの答えは「90秒で充分」だった。つまりこの曲はフルで90秒なのである。これは彼らじゃなきゃ不可能。卒倒しそうなほどの疾走感で迫りくる、苛烈なるバンドサウンドの極致。最高だ。
9mm Parabellum Bullet「インフェルノ」
『ベルセルク』OPテーマ
NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン 1,500円
◆ 林原めぐみ
「薄ら氷心中」
声優業界で最も大きな支持を集めてきたレジェンド・林原めぐみに対し、作詞作曲を手掛けた椎名林檎は同じ表現者として最大級のリスペクトを捧げた。ヴィジュアルイメージから楽曲の隅々に至るまで、完全なる椎名林檎プロデュース作品である。大人の色香や艶、そして匂い立つ毒までもが昭和浪漫の風情漂うジャズによって引き出された傑作。
林原めぐみ「薄ら氷心中」
『昭和元禄落語心中』OPテーマ
キングレコード 1,200円
◆ THEATRE BROOK
「裏切りの夕焼け」
事務所から独立を果たした後のリスタート一発目のシングル、という気概もあってのことなのか、THEATRE BROOKではあまり見られなかったド直球ストレートなロックンロールが『デュラララ!!』にとってはよかった。ぶっといグルーヴとダンディズム。クールさの中の汗くささ、そしてサビのパンチ力。すべてがハマっていた。
THEATRE BROOK「裏切りの夕焼け」
『デュラララ!!』OPテーマ
ソニーミュージック 971円
●今回、教えてくれたのは……
冨田明宏(とみたあきひろ)さん
音楽評論家/音楽プロデューサー。音楽評論家としてはアニメ音楽が主戦場。さらに音楽プロデューサーとして声優・内田真礼、黒崎真音ほかのプロデュースや、数々のアニメ主題歌も手掛けている。
2017.02.28(火)
選曲・文=冨田明宏
撮影=平松市聖
協力=アニメイト池袋本店