おすすめワインも素晴らしいものばかり

●パセリとレフォール(西洋わさび)のソース、サバ添え

付け合わせのサバと一緒に食べると……、これって握り寿司の味そっくり!

 主役はソースのほうなのです。緑はパセリ、白は西洋ワサビ。ひんやり冷たく、口で溶けながらそのものの味を広げます。

 付け合わせのサバと一緒に食べると……、これって握り寿司の味そっくり!

●グリーンピースと鳩の心臓

香ばしく焼いた鳩の心臓とグリーンピース、たらの芽。

 香ばしく焼いた鳩の心臓とグリーンピース、たらの芽。熟成感のあるソービニオンブランを飲みながら口にすれば、太陽の光と淡い緑の味わい、まるで春が来たような気分に。

●サンフランシスコ『Saison』のシェフからいただいた酵母で作ったパン

表面は香ばしく、中はじっとりした、やや重みのあるパン。

 表面は香ばしく、中はじっとりした、やや重みのあるパン。パンが一皿にカウントされているのがユニークで、ここまでの中では一番ボリュームのある皿です。

 ワインはカリフォルニアのシャルドネを。大人のヤクルトと言いたくなる乳酸の味がして、飲みごたえもあるタイプ。パンに、ヨーグルトバターをたっぷりのせて食べると特に相性よし。

●鰆とカリフラワー

かなり分厚い身ですが、すっとおなかにおさまって心地がいい。

 魚料理は鰆。カリフラワーのソース、薄く切って焼いたカリフラワーとともに。魚はしっとりと焼かれています。かなり分厚い身ですが、すっとおなかにおさまって心地がいい。

 「ふちの黄色いお皿がかわいいね」と、女3人(で訪れていました)の共通した意見。有田焼だそうです。

●鳩とカブ

焼いたカブの葉がナッツのように香ばしく感じられました。

 肉料理は鳩。火入れは完璧です。焼いたカブの葉がナッツのように香ばしく感じられました。茶色いソースはキャラメリゼしたカブ。

 赤ワインは、ブルゴーニュのジュブレシャンベルタンを合わせてくれました。

●焼きモンドール

モンドールを箱ごと焼き、焼き目がついたら取り除くことを繰り返し、取り除いた部分を混ぜて作る。

 チーズの一皿は、冬ならではのモンドールを使ったもの。モンドールを箱ごと焼き、焼き目がついたら取り除くことを繰り返し、取り除いた部分を混ぜて作ったのがこれ。アプリコットのソースと。

●洋ナシとチョコレート

洋ナシに、甘いミルクチョコレートを瞬間冷凍させたもの。

 薄ーく輪切りにした洋ナシに、甘いミルクチョコレートを瞬間冷凍させたものの組み合わせ。

 このところ、チョコレートといえばカカオ分の高いものばかり食べているせいか(そんな人は多いのでは?)、久々の甘いチョコレートが妙に美味しく感じられました。洋ナシがみずみずしい。

 ここまで11品。この後、大吟醸酒「久保田 萬寿」をかけたお米のアイスクリームと、最初のコロッケのような黒いプティフールが出て、13品のコースが終わります。

 繰り返しになってしまうけれど、13品という多皿のストレスは意外なほどありません。食後の飲み物は、コーヒーがお店のおすすめ。

 男性と訪れるのも素敵な店ですが、ちょっと贅沢な女子会にもお勧め。いいタイミングで料理が運ばれるので、話を中断させられちゃったということもなく、たっぷりと会話ができます。

 おすすめしてくれるワインも素晴らしいものばかり。「一口だけ」「グラスに半分」というわがままにも柔軟に対応してくれます。おしゃべりと美味しい料理、わがままにワイン。もう最高☆

 9時以降の料理はアラカルトのみで、深夜2時までの営業です。

 アラカルトはコースとは別の内容。オープンキッチンを前にしたカウンター席もあるので、遅い時間は一人で訪れても楽しそう。

 個室もあるので、いろいろな使い方ができそうな店です。

Crony(クローニー)
所在地 東京都港区西麻布2丁目25-24 NISHIAZABU FTビル MB1
電話番号 03-6712-5085
営業時間 18:00~翌2:00 ※21:30以降はアラカルト
定休日 日曜
予算 コース 12,960円+サービス料(10%)
http://www.fft-crony.jp/
[2017年1月訪問]

浅妻千映子(あさづまちえこ)
1972年東京生まれ。聖心女子大学卒業。鹿島建設勤務を経て、フードジャーナリストに。「dancyu」などの雑誌や書籍で執筆活 動を行う一方、料理研究家としてワインスクールであるアカデミー・デュ・ヴァンで料理講師も務める。日本ソムリエ協会認定ワインエキスパート。

Column

新店来訪! 美味しい出合いに一番乗り

ニューオープン、シェフやメニューが変わった店、面白い企画を立ち上げた店……などなど、なにかと「新しい」店を一番乗りで紹介するページ。「美味しい出合い」にご注目ください!

2017.02.08(水)
文・撮影=浅妻千映子