民芸の息吹を纏い、我が道をゆく益子

■トップブランドとのコラボなど新たな地平に挑み続ける

濱田友緒
陶芸家の濱田庄司の孫として、益子町に生まれる。2012年『濱田庄司記念益子参考館』館長に就任。自らのものづくりと並行して祖父の仕事を伝える役割も果たす。「私の場合、善かれ悪しかれ祖父のイメージが強くあるので、その期待を感じつつこの世界に飛び込みました。期待にどう応えるか、あるいは裏切るかを加減しながら、自分はこうだよというのを見せたい」。近年、ロエベと作品を発表するなどの新たな挑戦も。

■イギリスで人気のスリップウェアを独学

伊藤丈浩
千葉県出身。飲食業などを経て益子の製陶所に勤務。アメリカや日本各地の窯元を巡った後、2006年に独立。主にスリップウェアに取り組む。「スリップウェアは、手の動きがそのまま模様となって表れるのでおもしろい。10年前は益子でやっている人はほとんどおらず、その分、自分で試行錯誤するのが楽しかった」。そんなトライアルが反映された美しい模様にファンが多い。

■陶器の街で磁器に取り組み自然の曲線を表現する

えき のり子
山口県出身。女子美術大学を経て、「人のご縁で」益子に移住。「益子には自由さがあるから、私はここにいられると思う」と話す。陶器の街で、最近は専ら磁器を手がけており、写真の作品は「ここ1、2年作っている花モチーフ」とのこと。「もともと、自然なちょっとしたラインが好きで表現したくて。ラインがシャープに出せることもあって、磁器に惹かれたんだと思います」。

■レース紙やクッキーなどなど乙女心をくすぐるモチーフ

豊田雅代
益子町生まれ。『益子の陶器市』などで作家らと交流するうちに興味をもち、栃木県窯業指導センター・陶芸教室を経て独立。レースのような模様が入った器で人気。「“イッチン(筒描き)”という技法を使いますが、これは数年前からアイシングクッキーに興味が出て。作り方が自分の器とすごく似ていました。そういう他分野の技法など、試行錯誤して取り入れています」。

【立ち寄り陶芸SPOT】

●買う

 衣食住にまつわる優しさとあたたかみのある商品を揃え、観光客にも地元にも愛される『スターネット』。ここで扱うオリジナルの器はスターネットがディレクションし、地元の職人がカタチにしたものだ。

スターネット
http://www.starnet-bkds.com/

●見る

 濱田友緒さんの祖父である濱田庄司の自邸・工房だった『濱田庄司記念益子参考館』。現在は美術館として開放、友緒さんもこの敷地内に工房を構え、日々作陶・活動している。

濱田庄司記念益子参考館
http://www.mashiko-sankokan.net/

2016.11.11(金)
Text=Toshie Oowa
Photographs=Tamon Matsuzono

CREA 2016年12月号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

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