香港島で泊まるなら「ジ・アッパーハウス」しかない

ビルにはJWマリオットも入っているが、反対側に「ジ・アッパーハウス」の入り口があり、このビルの上層階が「ジ・アッパーハウス」になっている。

 さて、香港島にもマンダリン オリエンタルはじめ5ツ星デラックスのホテルが勢揃いしているけれど、便利だが静かで、超ラグジュアリーだがこれ見よがしでなく、知る人ぞ知るホテル「ジ・アッパーハウス」がおすすめ。

 場所は、金融の中心地にしてかつお洒落な店の揃うアドミラルティ(金鐘)、複合施設の整うパシフィックプレイスだ。シャングリ・ラやコンラッド、JWマリオットが軒を連ねる場所ながら、マリオットの建物の上層階を占める「ジ・アッパーハウス」に滞在する。隠れ家的ホテルとして、香港通の間でも話題のホテルだ。

ルームタイプ「スタジオ80」の広さは78平方メートル。山側サイドの眺望も落ち着いてけっこういいもの。料金は6,100香港ドル(約8万円)。この下のカテゴリー「スタジオ70」は5,200香港ドル(約7万円)。

 このホテルは何より、まず部屋が素晴らしい。香港にあって“広さ”は東京以上に貴重だが、申し分のない空間。4カテゴリーあるうちのいちばん小さな部屋で68平方メートルが確保されている。リビング+寝室スペースとバスルームなどの身支度空間が完全に分けられ、とてもすっきり。

 そして、さりげなくも上質な内装インテリアが我が家のような居心地をプレゼントしてくれる。ファシリティやアメニティはいたってシンプルに、だが必要十分なすべてが整う。クローゼットには木製のシューキーパーが男女用揃い、ヨガマットも用意されているのは嬉しい限り。

露天風呂ともちょっと違う開放感。夜景を眺めながらのバスタイムもいいし、朝風呂もなんだか楽しい。

 窓を大きく取ったバスルームも快適至極だ。一瞬、隣接したビルからの視線に躊躇するけれど、たっぷりと湯を張ったバスタブに身を沈めてからシェイドを開ければよいと気がつく。もちろんリモコン完備です。

 湯上がりのビールは無料。きちんと冷える冷蔵庫には、ワインやシャンパンも揃っているけれど、それ以外はすべて無料。なんとお菓子箱まであって、こちらも食べ放題。もう、部屋から出たくなくなっちゃう居心地のよさに脱帽のホテルだ。

こんなにたくさんのお菓子が食べ放題で……ダイエットにはツライ。
きちんとしたシューキーパーが置いてあるのは、得点高し。
エレベーターホールからダイニングへの通路は、吹き抜け窓からの光もあってちょっと荘厳な雰囲気。

 49階のダイニング「カフェ・グレイ・デラックス」は、NYのスターシェフ、グレイ・クンツのシグネチャーレストランで、インターナショナル料理が食べられる。香港市街を見下ろす夜景の美しさもさることながら、供される一皿一皿が美しくおいしい。素材もオーガニックにこだわり、世界中からの選りすぐりだとか。さすが香港、メトロポリス。

前菜のスモークサーモンはノルウェー産だが、時期によってはタスマニアのものを使うこともあるとか。
メインの仔牛の頰肉とアーティチョークのバリグール風。

 隣接したバーラウンジには14メートルのロングカウンターがあり、なかなか壮観。このホテルで過ごすだけで、香港の旅が満喫できるほど魅力的だ。

ホテル内には現代アートの作品がたくさん飾られている。
広いエレベーターの中にまで作品があったり、“陰陽”を表した作品があったりと楽しめる。

The Upper House(ジ・アッパーハウス)
所在地 Pacific Place, 88 Queensway, Admiralty
http://www.upperhouse.com/en/default

【Column 01】おすすめの食事どころは?

「ザ・コンチネンタル」での魚料理はオーストラリアのスギのグリル。コーンのソースがおいしい。

 ホテルの居心地のよさにくわえて、ショッピングも食事も楽しめるパシフィックプレイス。便利なこのエリアでおすすめの食事どころが、「ザ・コンチネンタル」。ヨーロッパのカフェ・レストランの雰囲気で、メニューもさまざま。ランチセットで265香港ドル(2皿)・295香港ドル(3皿)、だいたい3,000~4,000円。

濃厚なデザートは、ヘーゼルナッツチョコのガトーとブラウンバターアイスクリーム。

The Continental(ザ・コンチネンタル)
所在地 Unit 406, L4, Pacific Place, 88 Queensway, Admiralty
http://www.thecontinentalhongkong.com/

2016.09.14(水)
文・撮影=大沢さつき