主役でも脇役でもモチベーションは変わらない
主役だろうと脇役だろうと、セリフや出番の数でモチベーションが変わることはない。それは、デビュー当時から心がけていたこと。
「そういうことで腐ったりするのが、なんか嫌だったんですよね。少ない出番でも、何かできないかと仕掛けるかどうかは自分次第。台本に描かれてない部分を膨らませる面白さもあります。やるからには楽しんでやらないと損だと思っているんです」
もはや新人ではないので、求められる以上のことを還元していかなければならない年代だとも感じている。しかし、芝居の現場はともかく、ゲスト出演したバラエティ番組で、「かわいいキャラ」と芸人さんにいじられるのは抵抗ないのだろうか。
「ありがたいなと思います。僕が普段の感じのまま出演しても、番組は面白くならないですし。フォーカスしていただくのなら、何かしなくちゃいけない。なので、求められたことはやりますという感じです」
自分の性格を「図太くて融通がきく」と語る千葉さん。自分の軸さえ保てれば、どう扱われようと構わない。そんな達観したところがある。
「何をしても100%満足することはまずないですし、それなら、その時にできる100%を出しきるのが大事なんじゃないかと思いながら、仕事をしています。だからといって、力んでやっているわけでもないんですけどね(笑)」
硬くてまっすぐな枝はポキリと折れてしまうが、しなやかな枝は曲げても元に戻る。そんな柔らかい強さを千葉さんは秘めている。そんな千葉さんがかっこいいと憧れるのは、自分にないものを持っている人。
「普通のなんでもない生活を、ちゃんと過ごしている人はかっこいいなと思います」
仕事帰りのくたびれたスーツ姿のサラリーマンのお父さん方を見かけると、お疲れ様と声をかけたくなるのだそうだ。光の当たらないところにも、温かな目を向けられる千葉さんはやっぱり、正真正銘の「ヌクメン」なのかもしれません。
千葉雄大(ちばゆうだい)
1989年生まれ。27歳。2010年『天装戦隊ゴセイジャー』でデビュー。主な出演作に『Mr.マックスマン』(15)、『殿、利息でござる!』(16)、『全員、片想い』(16)など。現在、ドラマ「家売るオンナ」(NTV)に出演中。好きなたべもの=たらこスパゲティと寿司。中でも鯛の昆布締め。
2016.08.29(月)
Text=Tomoko Kurose
Photographs=Tetsuo Kashiwada
styling=Miyuki Sawada
Hair & Make-up=Naoki Hirayama