お店を代表するパンといえばこれ!
人気の「全粒粉のクリームパン」は、たっぷりのカスタードクリームが入っています。生地40gに対し、クリーム90gというリッチさ。粉の量を少なくし、長時間炊いて濃厚なクリームと、軽やかな歯触りの生地とのバランスが絶妙。菓子パンは全て、全粒粉が入ったオリジナルの生地を使用。「ふわふわの生地は好きじゃないんです」と片桐さん。
また、「湯だね食ぱん」は、湯だねの量を多くして、油脂分に太白ゴマ油を使っているそう。「もちもち感がたまらない」というファンが多い人気の一品です。「トーストすると、サクッとした食感に変わりますよ」と片桐さん。
並んでいるパンの中で一際目を引くのが、赤い色をしたトマトフランス生地のパン。さわやかなバジルソースとクリームチーズの組み合わせの「バジルフロマージュ」。「アンチョビ入りグリーンオリーブ」は、アンチョビが入ったグリーンオリーブを丸ごと包み込んであり、食べると口の中でじゅわーと弾けます。「ソーセージとハラペーニョ」は、ピリッとした辛みがきいた大人向けのソーセージパン。他にも、チーズを包んだ「ちーとま坊や」、ナスなどの季節の野菜をトッピングした「日替りお野菜のやさしい風トマトフランス」など、色々な種類があります。
「京都で働いていた時、農家さんが完熟のトマトを持ってこられた。それで、水の替わりにトマトの水分を生かしてパンを作ろうと思ったんです」。
トマトの酸が強いと生地がまとまりにくい。工夫を重ねて、トマトと同量の小麦粉を入れ、しっとりしていて歯切れがよく、のどごしもいいハード系のパンを完成させました。
今は、イタリア産のトマトを使用して、赤みが強く、より安定した生地にして、大きく焼くだけでなく、チーズや野菜と組み合わせた、様々な形、種類のトマトフランスパンを販売しています。
実は、お店に向かっている時、直径20cm以上もある大きなトマトフランスパンを、男子学生が歩きながら食べているのに遭遇。びっくりしたのでした。それくらい、噛むほどにトマトの旨みが広がり、食べ出したら止まらないおいしさなのです。
「今では、やさしい風を代表するパンです」と片桐さんは微笑みます。
2016.06.12(日)
文・撮影=そおだよおこ