大阪府堺市・浜寺の海岸は、古くから白砂青松の名勝地として知られ、明治5年(1872年)に浜寺公園が造られました。園内には、ばら庭園、交通遊園、プールなどがあり、人々の憩いの場となっています。
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公園の東には、「チンチン電車」として親しまれている阪堺電気軌道阪堺電車の終点「浜寺駅前停留場」。さらにすぐ東に、南海電鉄の浜寺公園駅があります。この駅舎は、明治40年(1907年)の建物で、国の登録有形文化財。大阪市中央公会堂や東京駅などを手がけた建築家・辰野金吾博士の辰野・片岡建築事務所による設計です。ハーフティンバー様式の木造平屋建ての駅は、まるで映画のセットのよう。
電車から降りると、100年前にタイムスリップした気分になります。南海本線の高架化に伴い、駅前は再開発が進んで空き地が目立ちますが、駅舎は新駅正面に移築されることが決まっているのだとか。
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「Breadio(ブレッディオ)」は、浜寺公園駅から徒歩1分。駅前通りにあり、阪堺電車の停留場も浜寺公園からもすぐ。
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お店の前に置かれた看板には「Breadioのパンは、お子様からご年配の方まで、安心して食べていただけるよう、素材と味にこだわって、毎日手作りしています。マーガリンやトランス脂肪酸、イーストフード、生地改良材は使っておりません。材料を厳選して、安心、安全なパンを作っています」とあり、窓にはそれぞれのパンの焼き上がる時間が書かれています。
数人入ればいっぱいになる程の小さなお店。奥の厨房で女性スタッフがパンを作っていて、50種余りのパンが次々に棚に並べられます。
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右:ひとつひとつ、ていねいに丸められたクリームパンの生地。
お店のオープンは、2012年2月2日。オーナーシェフの加藤朋子さんはお料理が好きで、自宅で教室を開いていたのだそう。友人においしいパンをもらったのをきっかけに、パン作りを習い始めます。「パンの魅力に取り憑かれて(笑)」、5年間、パン屋で働き、専門学校のアシスタントも務めて、家で試作を繰り返しました。そして、とうとう「45歳までにお店を持って、オリジナルのおいしいパンを食べてもらおう」という夢を叶えたのです。
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「普段、皆に安心して食べてもらえるパン。買った翌日もおいしいパン。材料にこだわりすぎると、値段が上がって毎日食べてもらえなくなる。そうならないようにこだわっています(笑)」。パンを自分自身の作品と思っているという加藤さん。看板に書いた、添加物を使わないパン作りにおおいにこだわっています。そして、生地の水分量を多くして発酵の時間を長くすることで、歯切れを良くして粉の旨みをじっくり引き出しています。
「発酵具合を細かくチェックして、ちょうどいいポイントで次の工程に進めると、味も良くなります」
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2015.11.22(日)
文・撮影=そおだよおこ