Magnificent View #926
皇居正門石橋(東京都)

(C)Robert Harding Images / Masterfile / amanaimages

 皇居の正門近くには2つの橋が架けられている。ひとつは、石で造られた「正門石橋」、もうひとつは、その奥に架かる鉄製の「正門鉄橋」だ。

 ご覧の橋は、1888年に完成したアーチ型の正門石橋。花崗岩が使用され、照明灯などに西洋建築の意匠が採用されている。

 一般的に、「正門石橋と正門鉄橋を総称して二重橋と呼ぶ」、あるいは、「手前の正門石橋が二重橋である」と言われることが多いが、いずれも間違い。

 二重橋というのは、正門鉄橋の通称だ。その呼び名は、この鉄橋がある場所にかつて、上下二段に架けられた二重構造の橋があったことに由来する。橋はその後、2度にわたって架け替えられたが、かつての通称がそのまま使われているのだ。

 名前こそ誤解のある橋ではあるが、皇居前広場から眺めるその姿は、理屈抜きで魅了される美しさ。これらの橋は普段は通行できないが、新年や天皇誕生日の皇居一般参賀時のみ正門が開放され、一般人も渡ることができる。

Column

今日の絶景

この広い地球上には、まだまだ知られざる素晴らしい景色がある。思わず息を飲んでしまう雄大な自然、ミステリーにあふれた驚きの奇観、そして、人間の文明が刻んだ偉大な足跡……。ここに、選りすぐりの絶景をお届けします。さあ、ヴァーチャルな世界旅行へと出かけよう!

2016.04.13(水)
文=芹澤和美