素朴な島にたたずむ洗練されたリゾート

アマタ・リゾート&スパのカバナコテージ。ガーデンにはハンモックなどの心地いいアイテムが。

 そんな素朴さが持ち味のガパリビーチですが、ステイ先はイメージとは裏腹に、洗練されています。今回滞在したアマタ・リゾート&スパはニューヨークの建築家がデザインを手がけ、ロブスターをモチーフにしたデザイン。Wi-Fiなどの通信インフラは脆弱なものの、リゾートとしての魅力はたっぷり。そしてスタッフの笑顔に、心休まるのです。

バンヤンツリーなど、緑に包まれたスパ。ミャンマー式マッサージはオイルを使わず、ストレッチをメインにしたスタイルだとか。

 マネージャーのタン・ウィン・レイさんに、丘の上の巨大仏像まで連れていってもらいました。漁村を抜け、砂の坂に足を取られながら登り、辿り着いた丘の天辺から、漁村を一望することができます。

丘の上の仏像から見下ろした漁村。少々白っ茶けた空気に、無数の船が浮かんでいます。

 そして巨大な仏像は足元から中に入ることができ、壁面に“マハムニ”の伝説が描かれていました。それは仏陀が、かつてガパリビーチもその一部だったアラカン王国の地に訪れ、仏教を伝えたという逸話です。

ガパリビーチのあるラカイン州はアラカン王国が栄えた地。ミャンマー人である前に、アラカン人であると、人々はいいます。

 タン・ウィン・レイさんは、自分はアラカンの末裔だと言います。1784年、アラカン王国がビルマに征服され、その後、英国が116年、日本が3年、統治をしました。

 彼の祖父母の世代にとって、この2国は特別な存在で、日本はわずかな期間しか関係がなかったけれど、良き日々の思い出が残っているのだとか。祖父母から話をよく聞いたという、彼が繰り返した言葉は、「戦争は終わりました。でも、心のつながりは消えません」。

 ガパリビーチの乾季は11~4月。猛烈な雨が降る雨季は多くのリゾートがクローズし、定期便を休止するエアラインも。今シーズンに行くなら、お早目に!

ガパリビーチ
●アクセス ヤンゴンから国内線で約50分
●おすすめステイ先 アマタ・リゾート&スパ
URL http://www.amataresort.com/

【取材協力】
エクスペディア

URL http://www.expedia.co.jp/

古関千恵子 (こせき ちえこ)
リゾートやダイビング、エコなど海にまつわる出来事にフォーカスしたビーチライター。“仕事でビーチへ、締め切り明けもビーチへ”をループすること1/4世紀あまり。世界各国のビーチを紹介する「世界のビーチガイド」で、日々ニュースを発信中。
「世界のビーチガイド」 http://www.world-beach-guide.com/

Column

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2016.04.02(土)
文・撮影=古関千恵子