青・黄・赤……カラフルなご飯にきっと誰もが仰天!
最後に紹介するのは、カラフルなご飯。「お醤油で炊いたから黒っぽい色になっちゃった」ではない、「青くしたかったから色を付けた」という積極的な発想。とにかくマレーシアでは、ご飯は白という固定概念はなく、まるで白いキャンバスのように、自由自在に色付けをして、食べる側をわくわくさせてくれるのです。
マレー半島東海岸の定番ごはん
人々を惹きつけるクールなルックス!
青いご飯こと「ナシ・ケラブ」。この青色の正体は、朝顔によく似た花の花びらの色素です。その昔、食欲のない子供に食べさせたくて珍しい色にしたという説がありますが、起源は定かではありません。パラパラ食感のご飯に、もやしなどの野菜やハーブをたっぷりのせ、ピリッと辛いソースをアクセントに。暑い日にぴったりの爽やかな味です。
赤ではなく黄色がめでたい!
お祝いの時のごちそう「ナシクニッ」
鮮やかな黄色のご飯「ナシクニッ」。もち米を蒸して作る料理で、マレー系のお祝い料理として有名です。色はターメリックによる染色で、ご飯が蒸し上がったら、少量のココナッツミルクをまぶしてできあがり。甘い香りがするご飯は、お肉の煮込み料理「ルンダン」との相性が抜群です。
多色使いで注目度ナンバーワン!
カラフルに色付けされた「ナシ・ミニャ」
赤黄緑などランダムに色付けしたご飯「ナシ・ミニャ」。別名レインボーライスとよばれ、インドの油脂「ギー」と一緒に炊きこんでいます。ピラフのようなコクのある味で、鶏や羊のカレーとよく合います。初めて見たときは、あまりにも大胆な色合いに驚きましたが、聞けば、結婚式などのお祝い時に映えるように色付けされたとか。ちなみに、このカラフルな様を「ナシ・フジャン・パナス」(天気雨ご飯)というそうです。
最後におまけでもうひとつ。
栄養価の高いブラウンライスと魚カレー
あっさりコンビの「ナシダガン」
こちらは色付けをしているのではなく、ブラウンライス(玄米)そのものの色。現地産のもち米と合わせて炊いているので、やわらかなピンク色に見えます。このご飯には、カツオやマグロのカレーを合わせるのが定番。サラッとした舌触りのご飯は、あっさり味の魚カレーにぴったり。エアアジアの機内食としても人気の料理です。
ふっくらとした味わいのジャポニカ米にはない、インディカ米ならではのさっぱりとした食感。余談ですが、世界の生産量でみると、ジャポニカ米よりもインディカ米のほうが多く生産されています。インディカ米料理のおいしさに目覚めると、旅に出かけるのがもっと楽しくなるかも!? みなさんもぜひ日本のマレーシア料理店や現地で、インディカ米のおいしさを味わってみてください。
マレーシアごはんの会 古川 音(ふるかわ おと)
「マレーシアごはんの会」にて、マレーシア料理店とコラボしたイベント、マレーシア人シェフに習う料理教室を企画・開催。クアラルンプールに4年滞在した経験をもち、『ニッポンの評判』(新潮新書)のマレーシア編を執筆。マレーシアごはんの会の活動のほか、情報サイト「All About」でのマレーシアライター、食文化講演も担当している。
オフィシャルサイト http://www.malaysiafoodnet.com/
Column
マレーシアごはん偏愛主義!
現地で食べたごはんのおいしさに胸をうたれ、風土と歴史が育んだ食文化のとりことなった女性ふたりによる熱烈レポート。食べた人みんなを笑顔にする、マレーシアごはんのめくるめく世界をたっぷりご堪能ください。
2016.03.25(金)
文=古川 音
撮影=古川 音、三浦菜穂子