4年前に、庭を愛でつつ食事が楽しめるよう増築。堂々たる店構えだ。 座敷はすべて個室。特注の立派なテーブルは、真ん中が開いて、鍋用の炭火が仕込める。 主人・伊藤剛治さん。 「鮎食べ」 22,000円~は、間に“にがうるか”など珍味を挟みつつ、3度に分けて焼きたての鮎が登場。美しいたで酢で。 「鮎食べ」の鮎の塩焼き。鮎の笹焼きならぬ「あいのささやき」と呼んで笑わせるのが定番ジョークとか。 冬場のお楽しみ、“月鍋”の熊肉。「すべての肉のなかで一番ピュア」と主人が言うよう、クセなくするりと胃袋に収まる。 熊とジュンサイの鍋。甘口の出汁の隠し味はハチミツ。野三ツ葉、山ウドなど、順に加えて味の変化を楽しむ。 熊とジュンサイの鍋。 先付はビワマスを山の幸と一緒に。幻といわれるビワマスに、コシアブラ、山ウド、クルミ、アイコ、松の実などを、梅酢ベースの山椒オイル入りのたれで和える。ナッツが香ばしい。 四季折々に姿を変える庭には、様々な花が植えられ、見ているだけで心和む。雪景色もいいのである。 約140年前の建物を6年かけてリノベーション。宿に一歩踏み入れるとタイムスリップしたような気分に。 琵琶湖が一望できる2階の寝室。 宿の目の前に広がる琵琶湖で捕れた天然のすっぽんをやわらかく煮て、実山椒のタレにつけて強火で焼きつけた一品。すっぽんは湧き水で2週間もかけて泥抜きする。 近江牛のヒレ肉は目の前で焼いて提供。 いろりでじっくりと焼き上げた鮎。 じゃがいもまんじゅうの揚げだし。中身はすっぽんと木の芽を和えたもの。出汁はすっぽんのスープを使用。 朝食は地元「のんきぃふぁーむ」の無農薬米、ビワマス塩焼き、安曇川のふもとで育った鶏の卵を使った出汁巻き卵、すっぽんと新玉ねぎの薬膳炊き合せなど。 2階の客室。遠藤周作の「ここから見る風景が北欧のフィヨルドに似ている」という発言にちなみ、家具はデンマーク家具の代表的デザイナーであるフィン・ユールのものを配している。 からすみ餅から着想を得た“鮒寿し餅”。炙ることでより濃厚な味わいに変化し、餅とよく合う。 グルメ漫画『美味しんぼ』にて紹介された名物の茶漬け。 “鮒寿しのクリームパスタ”。コクと酸味のバランスがとれた一品。 琵琶湖の宝石といわれるビワマスのお造り。皮の香ばしさが感じられるよう、塩たたきに。コースは約11品。14,300円(サ別)。 遠藤周作の字体を使った看板がかけられた外観。 山に囲まれた余呉湖の清らかな風景を眺めながら、テラスで食事もいい。どの季節も美しい。そして美味しい。 頭から一気に食べたい鮎の塩焼き。コシアブラのペースト添え。鮎は外の焼き台でひたすら焼く。 余呉湖の天然鰻。皮目はパリッと、中はふっくら。上にのせた生の実山椒のなんとジューシーなことか。 “発酵からすみ”。まるで平貝のような大きさに驚く。初めての食感、初めての味。日本酒が進んで困る。 分解&再構築された鮒ずし。なんとも美しい。ジュレとともにさっぱりといただく。これぞ酒肴。 玄関には涼しげな暖簾。 家族で店を守り立てる。右から、長女・舞さんの夫、那由太さん、舞さん、主人・徳山浩明さん、女将の純子さん、次男・敬介さん、長男・翔太さん。 メインダイニング。他に個室が3室。 冬から春先にかけてのお楽しみ、熊鍋。熊肉の美しさ、美味しさに加え、発酵出汁の深みがクセになる。 初夏のコースから、野菜の一品。焼きナス、熊の足肉、ワラビ、山ウド、新玉ネギ、シソの葉、オクラ、揚げた蓮根。猪の出汁をかけてある。いろいろな食感が口の中で弾ける。猪の出汁が味わい深く、澄み渡る。 右がビワマスの刺身、左がビワマスの卵のプチ丼。赤酢の鮨飯と一緒に。イクラよりもちょっと固めのプチプチ感がたまらない。 “熊の包み焼き”。パリパリの皮に包まれたやわらかな肉が旨い。 “焼きすっぽん”。すっぽんの肩肉を焼いて、肝ソースで。丸鍋などと違って、ワイルドな味わい。手づかみでいこう。 牛肉の生ハムと、熊、鹿、猪のテリーヌの極薄切り。牛ハムもテリーヌもポテンシャルの高いこと! 旨すぎる。薄く切ることで新しい世界が広がる。 “鮎のすっぽんコンソメがけ”。下には筍のペースト。青ネギとともに三位一体で口に入れれば、旨みが何乗にもなって押し寄せる。 コースの一品。鮎の塩焼きを桜のピクルスと。 琵琶湖国定公園内に位置し、敷地面積は約4万坪。 鮎を塩焼き。庭で採れた桜のピクルスをアクセントに。 アメリカ出身の料理長コールマン・グリフィンさん。レストランの壁には信楽焼のタイルが使われている。 スズキにスナップエンドウのさやから作ったソースをかけていただく。ディナーコースは約15品。16,500円。 ドリンクの研究を重ねるキャシー・ジオンさん。 アカイカの刺身とズッキーニを素麵のように切った繊細な一品。 ほお葉、ふき、ミントを合わせた絶妙な苦味が光るムース。 滋賀の古代小麦を使用した自家製パン。幾度となく試作を重ね、納得いく味に辿り着いたそう。 “バンブー#3”。近江牛の脂身を漬け込んだコニャックとマディラを使用したカクテル。グラスの縁には醬油粉をまぶした、甘じょっぱい味わい。1,500円。 地元の野菜をふんだんに使った朝食メニュー。 客室“ラグジュアリースイート”。 SOWER/ロテル・デュ・ラクの全景。