能登の復興を見守る灯台たち
能登を訪れるのは初めてだ。道中、窓の外に目を凝らす。見る人によってその景色はのどかと映るか、寂しいと映るか。
わたしは田舎で生まれ育ち、若い頃はなにがなんでも東京に出てそこで暮らしを立てるのだと思い定めていた。
それがなんの因果か、四十歳を過ぎてから田舎に移住し、今では捨てたはずの生まれ故郷で夏を過ごしている。
わたしの目に映る能登はのどかだった。人が少ない分、土地の気が汚れていない。地震の爪痕はまだ生々しいが、そこでたくましく生きる人々の息づかいも感じられる。
その日の宿は、〈いこいの村 能登半島〉というところだった。パークゴルフ場や公園のある広大な敷地を有し、建物も、部屋も広い。都会ではあり得ない空間を満喫した。
宿の売店を覗くと、いしる、いしり、よしるといった、能登特有の魚醤が売られていた。
わたしと妻は以前より、いしる(いしりといしるはイカを使った魚醤。呼び方は半島の東と西の違いによる)を好んでおり、日々の料理に使っている。料理にほんの少し加えるだけで、旨味が倍増する。わたしと妻の一番のお気に入りは、いしるを使った焼きそばだ。よしるというのは鰯を原材料にした魚醤だった。
いつもはネットで購入しているのだが、ここぞとばかりに買い込んだ。これで我が家のいしる生活はしばらく安泰だ。
晩餐は宿の外で能登牛を堪能した。飲み屋は見当たらず、宿に戻って部屋飲み。
早めに就寝して翌日に備える。
二日目の灯台巡りは旧福浦灯台から。石川県志賀町にある灯台だ。
「旧ってことは、新もあるのか?」
と編集者に訊くと、
「見てのお楽しみ」
という答えが返ってきた。
