娘の響子さんが、元夫の話題を振ると…

 衰えの中でも愛子さんらしさは失われなかった。ある時、愛子さんが響子さんにこう話したことがあったという。

「じいさん、ばあさんが寝てるんだよ。だから私が『起きろー』って言ったら、みんな飛び起きた。そういう時は声が出るもんだね」

 どうやら白日夢で施設に行って、入居者たちに号令をかけていたらしい。

 記憶が薄れていく母の姿に、響子さんは寂しさを感じる瞬間もあった。愛子さんがまだ家にいた頃、「田畑麦彦を憶えてる?」と、かつて事業に失敗した元夫の話題を振ったことがあった。「『すまない、会社潰れた』でおなじみの」と、愛子さんが何度も書いてきた決まり文句を口にしたが、本人はキョトンとするばかりだったという。

 響子さんは「寂しかったですよ。ああ、私は一人ぼっちになっていくなっていう寂寥感でしたね」と、その時の心境を吐露した。

ぼけていく私』には、佐藤愛子さんの最後のインタビューも収録。抜粋記事本編では、世間を騒がせた愛子さんの“恋”と“愛”にも触れられている。

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ぼけていく私

定価 1,430円(税込)
文藝春秋
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