心の成熟あってこその「美」
――整形など、手軽に美容の「正解」を買える時代ですが、それについてはどう思われますか。
小田切 美容は、日々の積み重ねによって心も一緒に鍛えられる手段です。心の成熟が伴わないまま、外見だけの美を追い求めて急激に変えてしまうと、その美しさはいつか必ず崩壊します。心の内側と、外側の美をセパレートして考えてはいけないんです。
ゆりやん 私は以前、大きく体重を落とした時は、周りから褒められても、心の中に「太いままの自分」が居座っていて、「私なんか全然……」という気持ちでなんだか素直に喜べなかったんです。でもその後、『極悪女王』の役づくりでの増量を経て、再び健康的に少し体重を落とした今のマインドは以前とはまったく違います。今はどんな体型の自分も大好きだし、褒め言葉も「ありがとうございます!」とまっすぐに受け止められるようになりました。
小田切 もし読者の方々が今の環境で美の基準に縛られているなら、もっと視野を広げてほしい。たとえば世界を見れば、ゆりやんさんのような体型が「最高にクールでセクシーだ」とされる場所はいくらでもありますよね。日本という狭い箱の中の「当たり前」に自分を押し込める必要なんて、1ミリもないんです。そこで苦しまないでほしい。
ゆりやん 10年前にニューヨークに3カ月ほど仕事で滞在していた時、卑下したわけではないけど自然といつもの調子で「私はデブやし」と現地の友人に話したことがあるんです。するとその友人は私の頬を拭う仕草をしながら、涙ぐんで「You are beautiful!!」って言ってくれて。その時は居心地が悪くて気恥ずかしかったんですけど、今思うと彼女のほうが正しかった。「ほんまにそうやん」って思えますし、自虐的になった自分もよくなかった。以前は脚を出すのも恥ずかしくて、みっともなく感じていたけど、向こうでは誰もが体型に関係なく着たい服を着て、ファッションを謳歌しているんですよね。現在はロサンゼルスを拠点にしていますが、そのマインドでいられることがとても心地よいんです。
CREA 2026年春号
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