最近は旅の穴場探しに「ChatGPT」も活用している。「この街の地元の人が行くカフェは?」と聞くだけで、ピンポイント情報がすぐに出てくる。もちろん最終確認は自分の足で。旅のよき相棒で、じつは恋愛相談にも乗ってくれる、意外と頼もしい存在だ(笑)。

 安全面では服装はできるだけシンプルに。旅行者感を出すと狙われやすいので、「この街に住んでいる顔」を心がける。スマホを地図代わりに持って歩くのは危険だから、ルートは「Apple Watch」で確認。これも旅のストレスを減らす小技だ。

最低限のリサーチは欠かさずに

 移動もアプリ頼みになった。「Uber」に東南アジアでは「Grab」が必須。飲食店のメニューは「Googleレンズ」で翻訳。言語が壁になる時代はそろそろ終わると思う。もちろん、国によってルールは異なる。僕はタバコは吸わないけど、電子タバコ禁止や、ガム禁止、食品持ち込み不可、ビザ必須など、本当に細かく違う。旅を「なんとかなる」で進めるのは危ないから、最低限のリサーチは欠かさない。

 旅は、準備して整えた分だけ楽しめる。そして、整えすぎない自由もまた大事だ。

 大きな冒険じゃなくていい。自分のペースで、自分の肌と身体と心を大切にしながら、今日もまた次の場所へ向かう。

與真司郎(あたえ・しんじろう)

1988年、京都府生まれ。14歳のときにエイベックスに入り、2005年に結成した男女混合のパフォーマンスグループ「AAA(トリプル・エー)」のメンバーとしてデビュー。2016年、ソロ活動開始と同時にロサンゼルスに移住。大学に通いながら約9年間を過ごす。2021年、AAA初となる6大ドームツアーを終えたタイミングでグループは活動休止に。2023年7月、「與真司郎 announcement」にて、自身がゲイであることを公表。著書に『すべての生き方は正解で不正解』『人生そんなもん』(ともに講談社)がある。