世界中を軽やかに移動しながら、自分らしいリズムで暮らすアーティスト、與真司郎さん。彼の旅には派手な演出も、無理な背伸びもない。あるのは“どこにいても自分を整える”という静かな決意だけ。スキンケアもワークアウトも、散歩も、太陽の光も――。小さな習慣を大事にしながら、今日も新しい街を歩き出す。

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 世界を旅していると、ちょっとした変化で調子がぶれやすい。朝食を抜いたり、睡眠時間が不規則になったり、知らず知らずのうちに自分のリズムが崩れてしまう。そんなとき、ほんの少し自分を整える時間やルーティンがあるだけで、気持ちも身体もぐっと楽になる。

 言ってみれば、旅先で自分を整えるための小さな習慣だ。

 基本、僕は健康的に生きたいタイプ。とはいえ外食も多いし、気を抜くと食生活がすぐクレイジーな方向に転がっていく。だから食べるものは意外と慎重に選ぶ。スキンケアだって同じ。肌の調子が悪いと、気持ちまで下がってしまうから、旅先で“自分の顔が不機嫌”になる状況は避けたい。

スキンケアは心のケア

 スキンケアは、見た目のためだけでなく、自分を労る“習慣”であり、“心のケア”でもある。だから、ケアアイテムは全部日本から持参する派だ。よく「旅行用に小さいのを持っていけば?」と言われるけれど、僕は断然フルセット(笑)。クレンジング、洗顔、ブースター、化粧水2種類、アイクリーム、乳液、クリーム、日焼け止め。厳選しても8、9アイテムになる。

 漏れそうなボトルのものはAmazonで買った“絶対漏れないやつ”に入れ替え、無印良品の吊るせる化粧ポーチに全部詰め込む。あのフックで引っかけられるタイプのポーチを3つ。2つはスキンケア用、もう1つはオーラルケア用だ。歯磨き粉だけで2種類、ウォーターピックも持っていく。「そんなに必要?」って思うかもしれないけど、肌が整うと、「最高じゃん」って気持ちまで強くなる。それだけの価値は十分にある。

 だから、荷物は自然と多くなる。スーツケース2個が基本で、最近はパタゴニアの大きなボストンも導入した。靴や下着、靴下は全部そこへ。ただしホテルに着いても、いちいち荷解きしない。旅先では毎日同じ場所に泊まるとは限らないから、“荷物を出さない運用”がストレスを減らすテクニックとして有効だ。

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