準備はするけれど あえて丸腰で臨むイメージで

 しかし、自然体に見せる演技というのは簡単なことではない。

「自然にやろうと思う時点で自然ではなくなりますからね(笑)。

 いつもの僕なら、入念に準備をして、自分の身を固めておかないと怖くてカメラの前には立てません。

 ですが今回は、撮影前にSABU監督から、小手先で見せようとするのはやめようと言われました。もちろん事前の準備はしましたが、イメージとしては丸腰(笑)。

 現場で起きることがすべてと思いながらやっていました」

 体を張った激しいシーンも多々あるなか、中川さんが苦心したのは、日常的な場面だったという。

「殴られるとか、水に飛び込む場面は、行為そのものがハードなので、そのシチュエーションに身を置けば壮絶さは伝わります。

 それよりも、朝の通学路や夜の商店街で、玻璃と歩きながらずっと会話をする、何気ないシーンのほうが難しかったです」

次のページ 1シーンで 台本10ページに及んだことも

CREA 2020年6・7月合併号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。