京の老舗絵の具店

彩雲堂の水干絵の具。

 日本画の画材は都市部の大きな画材店で手に入りますが、京都にはとても雰囲気のある老舗絵の具店があります。寺町通りを西に少し入ったところににある「彩雲堂」さんです。小さな店内は、3、4人でいっぱいになってしまいます。

 京都画壇を支え、文化財を彩ってきたやわらかで上品な色彩の水干絵の具は見ているだけで心がワクワクします。この絵の具で絵を描いてみたいと誰もが思うのではないでしょうか。

 よく、文花さんの絵は色がきれいとか色が優しいと言われますが、絵の具自体がこんなにも美しいのですから、それは私の力ではありません。

 対面での量り売りで、1両が約15グラムです。見本の絵の具を出してもらい、「これとこれを3両ずつ下さい」という感じで1色ごとに量ってもらうのです。昔ながらの買い物にちょっとドキドキ、感動すら覚えます。

彩雲堂
所在地 京都市中京区姉大東町552
電話番号 075-221-2464

終わりに

 さて、いつもお読みくださいましてありがとうございました。このような連載をいただくとは思ってもみなかったのですが、長年の取材活動とその中で培った人脈のおかげで、どこも快く掲載許可のご協力を賜ることができました。伝統を守ってくださる皆様に敬意と感謝の気持ちでいっぱいです。

 私たちはまだタイムマシンに乗ることはできませんが、このような伝統の中で、いにしえの時代を体感することができるのです。

 私はこれからも日本の伝統文化の楽しみ方をお伝えしていきたいと思います。

 ではまたいつか、どこかの行事や個展会場で皆様とお目にかかれますように!!

 中田文花 合掌九拝

中田文花(なかたもんか)
日本画家。描く事で仏教や日本の伝統文化を伝える。院展、万葉日本画大賞展など多くの公募展に入選。平成23年東大寺にて得度、在家尼僧となる。薬師寺機関紙挿絵、知恩院機関紙表紙絵を連載中。趣味:短歌、舞楽、龍笛、茶道。
ホームページ「文鳥寺画房」 http://bunchoji.com/
Twitter https://twitter.com/nakatabuncho

Column

尼さん日本画家 中田文花と遊ぶ古都風物詩

大人になったら東大寺でお土産を売る人になりたかった――お寺好きがこうじて尼僧になった関西在住の日本画家・中田文花さんが、関西の伝統文化と美の世界を分りやすく案内します。

2016.02.06(土)
文・撮影=中田文花