青色の正体は鮮やかな花びらの色素

 この青いご飯、一体どうやって色づけを? どんな味? と思われるでしょう。まず色づけですが、人工着色料ではないのでご安心を。この青色、マレー語でブンガ・トゥランと呼ばれるマメ科の花の花びらから煮出した色素と一緒に炊き込み、着色をしています。

青いご飯の色素となる、朝顔によく似た花、ブンガ・トゥラン。南国の陽射しの下で鮮やかに開花する。
花びらから煮出した、青色の色素。なぜご飯にこの色を……と、日本人なら最初は誰もが戸惑うほど鮮やかな紺碧色!

 着色の理由は、その昔、ご飯を食べない子供に親がなんとかご飯を食べさせたいと思い、色をつけたら興味を持ってくれるのでは? という願いから、青く色づけされるようになったという説もあります。真偽のほどは明らかではないのですが、マレーシア人の間では当たり前のように食べられている料理ですので、ずいぶん昔から受け継がれている調理法です。

 そして誰もが気になる肝心の味ですが、このご飯自体には青色から由来する花の味も匂いもありません。ただし、ご飯を炊く際にコブミカンの葉を入れるため、ほのかにハーブの風味がついていますが、微量ですので気になる方は少ないのではないでしょうか。つまりは、色がついているだけの、「普通のご飯」なのです。

2015.09.04(金)
文=三浦菜穂子
撮影=三浦菜穂子、古川 音