ファーストクラスで世界一周だなんて手の届かぬ高嶺の花かと思いきや、実はちょっとの工夫でリーズナブルに実現することができるんです。アマゾン川、マチュピチュ、ウユニ塩湖、ナミブ砂漠、南アフリカ、オーストラリア、香港、インドネシア……。トラベルライターのたかせ藍沙さんが体験したとっておきの旅を、ここに公開!

アマゾンで古くから使われているカヌーを、少年が漕いでくれた。1本の木をくり抜いただけのシンプルなカヌーは水面を滑るように静かに進む。アマゾン川の色は源流によって2種類ある。ひとつはアンデス山脈から流れ込む濁った薄茶色の「白い川」。そしてもうひとつが、こちらの、コロンビアの熱帯雨林から流れ込む透き通った「黒い川」。鏡のような水面に熱帯雨林が映り込んで、「逆さ富士」ならぬ「逆さアマゾン」に!(撮影=たかせ藍沙)

アマゾンに到着! わくわくドキドキの乗船

イキトスの空港が近づくと、眼下にはアマゾンのジャングルと深く蛇行する川が見えてきた。

 ペルーの首都、リマで国内線に乗り換えて1時間55分。アマゾンの玄関口となるイキトスへ向かった。ここまでニューヨーク経由でロングフライト2本だったものの、JALのファーストクラスはもちろん、ラン航空のビジネスクラスもフルフラットのシートでぐっすり眠ることができたから疲れはない。最初の目的地、アマゾン川へはあと少し。

イキトスへはラン航空の国内線で。わくわくしながらタラップを降りた。

 空港にはアクア・エクスペディションズのスタッフが迎えに来てくれていて、ここからの全てをケアしてくれる。まずはバスに乗り、ナウタタウンの船着き場まで、95キロを約1時間30分かけて移動だ。車内ではネイチャーガイドのリカルドが、雨季と乾季では水位が13メートルも違うことや、イキトスの漁業では南米で一番大きなラングフィッシュやナマズが捕れることなどを教えてくれた。

到着ロビーにはアクア・エクスペディションズのカウンターがあって、スタッフが待っていてくれた。

 アクア・エクスペディションズは、アマゾン川に2隻のクルーズ船を所有しているが、今回乗船したのは、2011年に新たに就航した「アリア・アマゾン」のほう。3泊、4泊、7泊という旅程のうちの、4泊のクルーズに乗船した。このルートはイキトスではなく、少し上流のナウタタウンで乗船することになる。

明かりを灯した「アリア・アマゾン」が暗闇に浮かび上がっている。いよいよ乗船!

 ゲストを乗せたバスがナウタタウンに着く頃には日が暮れてあたりは真っ暗になっていた。船着き場に着くと、「アリア・アマゾン」が明かりを灯して待っていた。小型ボートに分乗して船へ。客室キャビンに案内されると、まずは、救命胴衣を持ってデッキに集合。出航前に避難訓練だ。それからラウンジでスライドを見ながらブリーフィング。そして、クルーズライフが始まる。

スライドを見ながらブリーフィング。船の構造やクルーズの大まかなスケジュールなどを分かりやすく説明してくれる。

 この日はゲスト全員が移動日なので、軽めのディナーを済ませ、早めに休む。客室のベッドの正面は全面窓だが、今は何も見えない。夜が明けるのがこれほど楽しみだったことはないかもしれない。明日からは冒険が始まるのだ!

2015.06.12(金)
文・撮影=たかせ藍沙