火を起こせることは森の中で生き抜くための大事な条件

無駄な動きは一切なく、あっという間に焚き火を起こすサーミの青年。

 森の中で生きる術に長けているサーミ。子供の頃から、ナイフの使い方を習得し、常に身に付けている。ナイフを持たずに森へ入ることは、「自分が自分でないようで、どこか落ち着かないわ」とサーミの女性も言う。そして、火を起こすことも、命を守る大切なスキル。実際、オーロラ観測や氷上フィッシングなどのアクティビティの時、乾いた木を、燃えやすいように鳥の形(“キエヒネン”と呼ぶそう)に削り、ヤカンを通した木の枝を雪に刺すなど、焚き火の準備の手際の良さには、目を見張ったほど。

マイナス30度の寒さも跳ね飛ばす、笑顔満開のルカちゃん。

 サーミには、サーミ議会による定義がある。「母語としてサーミ語を学んでいる人」、または「両親か祖父母がサーミ語を母語とする人」で、「自分自身をサーミであると認める人」。

 定義の重要なファクターであるサーミ語とは、サーミ独自の言葉で、地域によって全く異なる複雑なものだ。今の若い世代のサーミは積極的にこの言葉を学ぼうとしているようで、その理由を聞くと、「だって、クールでしょ!」と、誇らしげに胸を張る。現在、サーミの人口は約8万人、フィンランドには諸説あるが約7000~9000人が暮らしているという。

サーミの歴史や文化について造詣が深められる博物館「シーダ」。

 サーミのことをもっと知りたくなったら、サーミのふるさと、イナリにある「シーダ」へ。彼らが歩んできた歴史や培ってきた知恵や文化、季節折々の自然環境などが展示されている。1階には自然素材で作られたサーミの工芸品や服飾品のショップがあり、どれも女子のココロをくすぐる愛らしさ!

ラップランド土産として人気が高い、コップのククサ。成長に時間のかかる白樺のコブをくりぬいたものは、木目が複雑でグッと高価。贈った相手がシアワセになるという。

SIIDA(シーダ)
所在地 Inarintie 46, 99870 Inari
電話番号 +358-400-898-212
URL http://www.siida.fi/contents?set_language=en

【取材協力】
Lapland-The North of Finland

URL http://www.onlyinlapland.com/

【情報提供】
フィンランド政府観光局

URL http://www.visitfinland.com/ja/
 

古関千恵子 (こせき ちえこ)
リゾートやダイビング、エコなど海にまつわる出来事にフォーカスしたビーチライター。“仕事でビーチへ、締め切り明けもビーチへ”をループすること1/5世紀あまり。世界各国のビーチを紹介する「世界のビーチガイド」で、日々ニュースを発信中。
「世界のビーチガイド」 http://www.world-beach-guide.com/