Magnificent View #523
錦帯橋(山口県)
全長約193メートル、幅約5メートル。5連のアーチからなる美しいこの橋には、先人と歩んだ長い歴史がある。
岩国藩の第3代藩主だった吉川広嘉は、たびたび洪水を起こす錦川に、堅牢な橋を架けることを決意。1673年(延宝元年)、悲願の錦帯橋が完成した。頑丈な組木の技法により、橋上からの圧力でさらに強度が増す仕組みは精巧で、現代の橋梁工学からみても、非のうちどころがないほど秀逸なものだという。
翌年、洪水により流失するものの、橋台の敷石を強化して再建。以来、老朽による補修や架け替えを行いつつ、276年もの間、人々の暮らしを支え続けた。そんな長年不落を誇った錦帯橋も、1950年(昭和25年)のキジア台風による錦川の大増水で、惜しくも流失。しかし3年後には、市民の熱意で再建された。
2001年、老朽化による傷みが目立ってきたため、伝統職人の手により、昔ながらの木組み工法で架け替えを実施。今、橋は再び、美しい姿を見せている。
Column
今日の絶景
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2015.03.07(土)
文=芹澤和美