バレンタインデーを前に、お菓子屋さんや洋菓子の売り場がチョコレート色に染まっています。30年以上も前から、神戸には生チョコレートがお店に並んでいました。今はなくなってしまった『コスモポリタン』や『アラン・カスケビッチ』では、ヨーロッパのようにたくさんの種類のチョコレートボンボンやチョコトリュフが並んでいて、1個から買えたのを思い出します。
近年、美しいボンボンやトリュフをケースにずらりと並べて販売する、個人経営のチョコレートショップが京阪神にも増えてきました。
関西学院大学の校門正面の道路沿いに、小さなチョコレート専門店がオープンしたのは、2012年3月。「私にとっての最高の喜び」という意味の『デリスモア』を営むのは、大勝久美子さん。10坪程のお店のケースや棚には、チョコレートボンボンやトリュフをはじめ、チョコレートのお菓子がいっぱい。奥のチョコレートを作る厨房から甘い香りが漂ってきます。
右:女性らしいセンスにあふれた店内。
大勝さんは、小さい頃から「将来はケーキ屋さんをしたい」と思っていたのだそう。クッキーをたくさん作っては、甘いものが大好きな祖父に送っていたと言います。「製菓専門学校へ行きたかったのですが、両親に大学に進むよう助言されて」と関西学院大学商学部に進学。卒業後、製菓メーカー『ゴンチャロフ』に入社します。研修で製造の現場を半年経験してから、5年半、商品開発の部署に。
「バレンタインデーのための商品も開発しました。製造だけでなく、売り方や経営のための計算など、幅広く知ることができたのが強みです」。ヒット商品も生み出したのだとか。
「自分の店、チョコレート専門店を持ちたい」と職を辞し、店舗探しを始めて、すぐに今の物件が見つかります。店を構え、たったひとりで商品を作って、ひとりで販売。繁華街と違って人通りが多い場所ではありませんが、出身校の前に専門店を開いた女性ということで話題になりました。今も、スタッフと一緒にチョコレートを手作りし、自ら販売も行なっています。
「色々なチョコレートを創作するのが、楽しくて!」
ケースに並ぶ「ボンボンショコラ」は25種類。そのうち20種類が定番で、どれもベルギー産のカカオを使用。少量ずつ、1個1個ていねいに手作りされています。口の中ですーっと消えるまろやかな味わいと、カカオの香りが広がる上品な後口が特徴。「誰が食べてもおいしいと感じるチョコに仕上げています。味が尖ったものは、おいしくないと思う」と大勝さんは言います。
2015.02.08(日)
文・撮影=そおだよおこ