ミクロン級にサラサラ、ふんわりとした感触の白砂
“南太平洋のプチ・パリ”と呼ばれるヌメアから、わずか約25分のフライトながら、メラネシアの島らしさが満開となっているイル・デ・パン。ビーチ以外で人とすれ違うこともあまりなく、まるでひと昔前へワープしたよう。
宣教師が最初に上陸したサン・モーリス湾岸では記念碑を木彫りの魔よけがぐるりと囲み、西洋文化と地元文化が混ざり合った風景はどこか不思議な印象を覚えます。また、昔ながらの帆掛け舟で海に出れば、奇岩の島々を通り過ぎ、先人たちが見た景色ときっと変わらないだろうと、想像も膨らみます。
イル・デ・パンに初めて訪れたのは20年以上前。その時、この島を代表するクトビーチを案内してくれたガイドさんいわく「ここは世界でいちばん美しいビーチなんですよ」。たしかに、白砂はミクロン級にサラサラで、空気を含んでふわりと柔らかな感触。そして漂白したように、真っ白。
この時に、白砂に対する基準値がわたしの中で築かれたようです。あれから、どのビーチへ訪れても、白砂の感触を確かめながら、クトビーチのものより細かいだろうか? 白いだろうか? と頭の中で反芻しつつ比べるように。けれど、ここの白砂を超えるビーチとは、そうそう出合えないですけれど、ね。
そのクトビーチ、大きな弓形の弧を描き、ところどころにナンヨウスギがギザギザと砂浜を縁取っています。かつてクック船長がこの島へ訪れた時、ナンヨウスギを松と間違えたことから、この島の名前が”イル・デ・パン”(松の島)となったそう。
絶品の白砂ビーチは、裸足で歩いていると、足の裏から砂の柔らかさが伝わってきます。浜辺で昼寝している犬も、ふかふかのベッドに寝ているように、気持ち良さそう。プチホテルは道を挟んだところにあるので、パブリックビーチのような趣です。
2015.01.31(土)
文・撮影=古関千恵子