フランスパン、デニッシュと餡との出会い
ストレート法のフランスパン生地でつぶあんを包んだのが「あんフランス」。表面にはケシの実がたっぷり。シンプルな生地があんこの甘味を引き立てます。ぐにゃりと曲がった形の「大納言スティック」は、オーバーナイト法でしっかり熟成させたフランスパン生地を使用。強い歯触りの生地で、噛み締める程に生地と餡が一体になり、旨味が増します。
「玄米あんパン」は、炊いた玄米を混ぜ込んだ生地が、モチモチした食感。「白餡とベストマッチ!」と松尾さん。他にない歯応えのあんパンです。
小さく作ったバゲットにサンドしたのが「あんバター」と「きなことクルミ」。たっぷりのつぶあんとよつ葉バターのスライスをサンドした「あんバター」のシンプルなおいしさ。そして、きなこを混ぜた白餡にフランス産のクルミ、ホワイトチョコを組み合わせ、和洋をマッチさせた「きなことクルミ」のリッチな味わい。どちらもクセになるはず。
そして、子どもに人気が高いキャラクターのパンも発見。ぱくりとかぶりつくと、中は何と黄身餡。「質の高いものを子ども達に食べてほしいと、製餡屋さんに無理を言って作ってもらった餡です」。菓子パン生地に合う優しい風味。大人にもファンが多いのだそう。
同じ黄身餡の中にさらに求肥餅をしのばせて包んだのが「黄身あん 餅くるみ」。上に飾ったクルミの香ばしさと歯触りがアクセント。あんパンというよりは、まるで和菓子のようです。
あんパンだけで、これだけたくさんの種類を作るパン屋さんも珍しい。
「時には、餡を使ったデニッシュも作ります」と松尾さん。和風のあんパンには緑茶やほうじ茶、フランス風のものには、コーヒーや紅茶を。「色々な文化を受け入れて、上手にアレンジして、自分らしさを出していく。それが、ごく自然にできるのが、港町・神戸。自分がおいしいと思うパンを作り続けていきたいですね」。
フランス語で「実る・収穫する」という意味の、récolte(レコルト)。じっくり時間をかけ、酵母と酵素の力で、粉をパンに変える。そうして出来上がったパンは、実りそのものといえるでしょう。「そのパンを食べてくれた方の笑顔。それが私の実りの時期ですね」。
日本人が生み出したあんパン。日本人が大好きな菓子パンには、まだまだ無限の可能性があるよう。毎日でも食べて飽きないおやつです。
『ブーランジェリー レコルト』
所在地 兵庫県神戸市兵庫区塚本通5-3-15 ウエストコート2番館1F
電話番号 078-599-6436
URL http://www.pain-recolte.com/
Column
そおだよおこの関西おいしい、おやつ紀行
生まれも育ちも神戸の生粋の神戸っ子で、長年の関西での取材経験からおいしいお店を知り尽くしている、ライターのそおだよおこさんが、関西の「今、食べてほしい!」というおやつを紹介します。
2015.01.18(日)
文・撮影=そおだよおこ