デモ隊は犯罪者たちに利用されてしまった
――デモ隊とブラック・ブロックは関係なく、ブラック・ブロックと略奪を行う郊外の若者も別に関係ないのですね。
もともとは関係なかったのですが、今回の高校のデモで、結構お互いがお互いを利用する関係が生まれてしまったところもあります。
――デモ隊は単純にそういう犯罪者たちに利用されてしまったということですか。
そうです。今回は警察と公安の不手際が指摘されています。警察はデモの警備に集中していましたが、本来、デモの警備なんてする必要はないのです。
今回のデモは組合が参加していましたが、彼らはデモのプロです。ややこしい問題が起きないように、ちゃんとした警備隊を作ってデモをする。警察はデモ隊の中にいるブラック・ブロックの一団だけを警戒し、あとはデモと関係ない暴徒に対する備えをすべきだった。治安当局が見誤ったから、ひどい暴動になってしまったわけです。
暴動は移民1世の問題ではない
――日本では、暴動と移民を結びつけて語る人も結構います。
近年フランスに来た移民と今回の暴動は、まったくの無関係です。問題は移民の2世、3世であり、移民1世ではない。
移民2世、3世はフランス社会に同化しています。それなのに暴動を起こすのは、差別と貧困が背景にあるからです。
元々フランスは第一次大戦以降、移民を労働力として受け入れてきました。フランスのサッカーチームが代表的で、ジネディーヌ・ジダンやミシェル・プラティニ、もっと前はポーランド人など、その時代その時代に外国から移民が入ってきています。
問題は、移民2世、3世は同じフランス人であるにも拘わらず、区別されているということ。ジダンのお兄さんに話を聞いたことがありますが「育った郊外の団地は1980年頃までは平和でした」と言っていました。今では、「サッカー選手になるか麻薬の親分になるしか大金持ちになる道はない」とまで言われています。1990年代に格差が激しくなり、それ以降、世の中が変わる中で郊外団地がスラム化してきてしまった。こうした政策の失敗により、本来フランス人として同等に扱われるはずだった移民2世、3世を困窮させました。同時に同じ地区に住む生粋のフランス人も同じ境遇に陥っており、暴動へと駆り立てたのです。
