教員よりも民間企業が稼げる

――教育の問題について深掘りしていきたいのですが、学生たちが立ち上がった背景にはどういう問題があるのでしょうか。

 教師のなり手が非常に少ないんです。まず給料が低い。現在、教師になるような大学で5年間学んだ「マスター・修士」であれば、民間の給料はずっと高くなっています。2026年フランスの高校教師の平均給与は、月2,950ユーロ(ボーナスなし、1ユーロ180円とすると53万1000円、120円とすると35万4000円)、一方、同じ学歴の給与中間値は約3,500ユーロ(ボーナスなし、1ユーロ180円とすると63万円、120円とすると42万円)。民間企業に入社したほうが稼げるのです。

 さらに、郊外の団地がスラム化するなど、非常に環境の悪い高校も増えており、誰もそこへは行きたがらない。今回、デモを受けてマクロン大統領は「教師3,000人の増員を約束する」と発表していましたが、それでも足りないぐらいです。

――教育は国家にとって重要なものですが、フランスはあまり対策してこなかったということなのでしょうか。

 対策自体はしてきました。フランスは60年代ぐらいまでは上と下の階級がはっきり分かれていて、大学に行くのはエリートだけでした。それが68年の五月革命などを経て、80年代にフランソワ・ミッテラン大統領率いる社会党政権が日本を真似て、大学入学資格を持つ人を80%まで上げるという方針にした。教育に予算をつぎ込んできたのは確かです。

 ところが、人数が増えてきたことに対する対策が遅れており、そこに施設の老朽化も重なった。本来なら教育に投じる予算が上がらなければいけないのに、当時とほとんど上がっていない。それに加え財政難が問題になっているという状況です。

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