2014年6月22日、青山の根津美術館にて、「1日でアートがわかる! CREA×橋本麻里トークイベント@根津美術館」を開催しました。その模様を、3回に分けてレポートします!

» 第2回 美術と一生つきあうための見方とは?
» 第3回 アートを自分の家に置く醍醐味について

美術(アート)との楽しいつきあい方とは?

 CREA編集部のIです。

 こちらのトークイベントは、CREA7月号「人生にアートを!」特集の発売を記念してのもの。橋本麻里さんは、この特集の超重要なブレーンでした。

 橋本さんは、日本美術を主なフィールドとするライター/エディター。多くの雑誌でアートについて執筆される一方、明治学院大学、立教大学でも美術史を教えていらっしゃいます(最近知って驚いたのですが、ご自身が大学で専攻されたのは文化人類学で、美術関連ではないそうです)。

 CREA WEBでは2012年から「この美術展を見逃すな!」を、今年の3月号からはCREA本誌でも「橋本麻里のArt Walking」を連載していただいています。

 アートというのは、CREA創刊25年で初めての特集テーマでした。アート特集班になったのは、編集部の中の5人。今年3月、このアート特集班5人と編集長で、橋本さんと最初にブレーンストーミングというかご相談をしたとき、橋本さんが何気なく言いました。

「たとえば本物の縄文土器でも、安く買えるものはあって、花を生けることもできる。南宋時代の青磁も、かけらなら数千円で買えるから、それを箸置きにしてもいいんです」

 これでみんな、「ステキ! 私もやってみたい!」と盛り上がったのです。慣れない特集テーマになんとなく戸惑っていた私たちの、最初の一致団結でした。

 今回の特集では、アートを「観る」だけではなくて、「買う」「自分のものにする」という切り口も立てるとなんとなく決めてはいたのですが、橋本さんのこの縄文土器と青磁のかけらのお話が、私たちの「美術」に対する物欲とか所有欲に火をつけた感じで、特集が動き出したと実感した記憶があります。

 その縄文土器の生け花と青磁の箸置きは、ちゃっかり企画(古美術の楽しい「使い方」)にいただいて、橋本さんは、ほかにも、たった4つの作品で美術史を語れという「古今東西、4つの作品を知れば、アート史がわかる!」というムチャ振り企画と、今年は国宝がザクザク観られるということで、「超一級の国宝まつりの幕開け!」という美術展紹介も執筆されました。

 そして今回のイベントでは、この3つの企画の内容を柱にして、橋本さんの講演が展開されました。根津美術館には地下に素敵な講堂があり、今回は、橋本麻里さんが講師ならばぜひと、特別に使用できることに。

 多くのご応募をいただき、ご招待は抽選となりました。当日は雨にもかかわらず108人もの方が来場されました。

根津美術館の庭には、雨に濡れるあじさいが。

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2014.07.17(木)
撮影=鈴木七絵