先生と編集者の会話を読みながら古墳に詳しくなる

著者の大塚初重氏は、「70年研究したけど、まだ分からない。だから、古墳は面白い」と語っている。

 もう一冊が『大人の探検 古墳』。

 こちらは、古代好き編集者・木庭くんが考古学界の重鎮・大塚先生のもとに押しかけ、日本各地の古墳を巡るというスタイルで物語が進む。会話体なので、一緒に旅をしている気分になれるのが楽しい。

 監修を手がけるのは、明治大学名誉教授の大塚初重氏。日本考古学協会会長、山梨県立考古博物館を歴任した学界の第一人者である。

 ここで紹介されるのは、全国73の古墳。さらに、周辺施設や癒しスポットの情報も豊富に掲載されている。

古墳の部位を解説したページ。古墳は、単に土を大きく持った山などではなく、精密に採寸され、規格通りに造られている。つまり、れっきとした建造物なのだそう。

 特にこだわりがうかがえるのは、カラーページ。埴輪をはじめとする出土品のディテールがしっかり分かるのは、実にうれしいところだ。

 この本を読んで、古墳の見方や作られた時代の背景を知ったなら、より古墳を楽しむことができるようになることだろう。

大阪府高槻市の今城塚古墳から出土した力士形埴輪。よく見るとまわしらしきものを締めているのが分かる。多彩な副葬品も、古墳の魅力のひとつだ。

 ちなみに、本書は「大人の探検」シリーズの第1弾。第2弾は、14年7月下旬に発売される『大人の探検 奇祭』だという。こちらも面白そう。

 古代のロマンに満ちた古墳は、まさにパワースポット。古墳巡りの旅は、女子力を上げてくれるかも。

『大人の探検 古墳』
大塚初重 監修
発行 有楽出版社
定価 1,600円(税抜)
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2014.07.07(月)