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精文館書店豊明店 近藤綾子さん
「普通じゃなきゃいけない」って言われていたこともあったし、いつからか、「個性が大事」と言われるようにもなった。そんなことにいちいち振り回されることもなく、そして、格好つけることなく、自分は自分でいいんだよっと、軽やかに教えてくれる。「自然淘汰」だって、たまたまなんだもん。何か特別なことがある訳じゃない。えみちゃんと同様、何だかホッとした。
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明林堂書店浮之城店 大塚亮一さん
人と合わせて生きることを物心つくころから、教わってきたこの国。きっとそのほうが楽だし無難に歳を重ねていけるだろう。でもそれができない人はどうする? そんな疑問をこのリボンちゃんが教えてくれる。自分らしさとは? ゆっくりマイペースで一歩づつ進んでいけばよいんだよと優しく肯定してくれるそんな心がほっこりする、今なんかうまくいかないなあーと思ってる人に届く救済の物語。
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SuperKaBoS鯖江店 峯森和代さん
周囲の目や年齢が気になるから、好きなものをずっと手放さないでいるのはむずかしい。好きなものは好きなまま、やりたいことがみつかったらやってみる。そんなリボンちゃんの生き方が素敵。絵本のようなタイトルから、ふわっとした物語なのかな? と思ったけれど(寺地はるなさんなのでそんなわけなく)しっかり考えさせられる物語だった。
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ブックマルシェ我孫子店 渡邉森夫さん
協調性も個性もどちらも窮屈な物差しだと感じている。リボンちゃんはその間を颯爽と闊歩していくように映る。自分が何者かと問うよりも、自分がどれだけ快適にいられるかということこそ探している自分なのかもしれない。
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水嶋書房くずはモール店 和田章子さん
個人の尊重」や「多様性」といった言葉は、口にするのは簡単だけれど、心の底からストンと腑に落ちることはなかなかありません。ましてや、社会全体でそうした考えが共有されるなんて、夢のまた夢だと思っていました。けれど、この小説には、それを実感させてくれる力があると強く感じました。加代子が幼い百花に言った「親は他人。自分じゃない人は、全員他人」という言葉。子どもは親の所有物ではないし、親が子どものためにすべてを差し出すことが正解でもない。この一見冷たいようでいて、深い愛情を含んだ一言にハッとさせられました。百花は誰かに対して「うらやましい」「あの人のようになりたい」と思ったことがない。強く何かを求めた経験もない。新しいことを始めるときは、「今、やりたいからやってみる」。夢がないことを恥じたこともない。その姿勢に触れたことで、「夢をもちなさいハラスメント」がふわっとほどけていくような感覚を覚えました。人との関係も、強く結ばれたり、ゆるく解かれたり、また結ばれたり。そのときどきで形を変えるリボンのように生きていく…。この作品を通して、「自由」という言葉の意味が、私の中でひとつ増えた気がします。
2025.07.23(水)